トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ30)

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「こういう店苦手？」

「えっ」

「なんか雰囲気ちゃうやんな。もうちょっと静かな場所がよかったかな」

「そんなことないよ。普段こういうお店に来ないから新鮮で」

小瀧くんを責めたいつもりはなかった。23歳の彼なりに、女の子が好きそうなお店を調べてくれたのだろう。もしかしたら、前の彼女と来ていたかもしれない。

「普段はどんな店行くん」

「普段ね…」

考えてみると、大衆居酒屋か小洒落たお店が多い。周りのお客さんは大体自分より年齢層が高いような。

今、私の周りには明らかに学生です！ってお客さんが多数を占める。だから落ち着かないのだろう。

それを正直に伝えるのも変な話なので、「最近飲みに行かないからなあ」なんて濁すことになった。

「小瀧くんは？よく飲みに行くの？」

「学部生の時は週５くらい飲んでた」

「すご、若さだね」

「今はもう友達も就職したし、ほとんど飲みに行かんけどね」

話しながらジョッキをこちらに回してくれる。

「じゃあ」

「うん」

「うん。…お疲れさまです」

「お疲れさまです」

互いのジョッキが重なって小さな音が鳴った。