トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ21)

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「神ちゃん、ノート貸してや」

「えー、また休んだん」

「行く気はあってん、寝過ごしたんや」

「こいつ同期なんですけど歳は一個上なんです。こんな感じやから２回目の２回生で」

ええ、よく知っています。この間も大学休んで、家でフレンチトースト食べてました。

「濵田さんよう怒らんよなあ。学費も出してくれてるんやろ」

「仏の濵ちゃんや」

流星が近くにあったコップの水を飲むが、それは私のだ。

話を聞いていると、２人が同居していることは周知されているらしい。確かに、そこへ１人女性が混ざるとなると良いイメージは沸かないよね。

だけど、３年暮らして嫌な気持ちになったり、関係性がおかしくなったりしたことは一度もなかったなあ。

「それAさんの水やで」

「Aさんって言うん？顔だけやなくて名前も可愛いんやね」

「Aさん、こいつイケメンやけどめっちゃチャラいから騙されたらあかんで」

「ははは…」

完全に楽しんでいる流星に疲れてきた頃、奥から照史さんが現れた。

「おー、なんやなんや２人とも珍しい」

「照史、流星がさっそくAさん口説いてる」

「はやっ、ほんで相変わらず顔ええなあ」

照史さんが来るとその場の雰囲気が明るくなる。

そろそろ注文をしようとメニューに目を戻した時、耳元で昨日聞いた声がした。

「ご注文は何になさいますか？」