トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ12)

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「うんめー」

濵田さんはさっきからオリーブオイルとお米の親和性に感動している。アヒージョはバケットのイメージだけど、アクアパッツァは海鮮類だからお米もいけるのかな。

「明日みんなオフの日ちゃうん」

流星が冷蔵庫に貼り付けてあるホワイトボードを見た。１ヶ月ごとにお互いのスケジュールを書き込んだものだ。

「俺、朝だけ仕事せなあかんけど12時くらいから空くわ」

「最近忙しいね」

「小瀧くんの研修」

意味ありげな視線。いや、こういうのいいです。

「どう？イケメンやったやろ？」

「濵田さん悪いよ、最初から相合傘させたりさあ」

へへへへ、と笑う濵田さんは全く悪びれる様子がない。

「でもあかんらしいで」

「へ！タイプちゃうかった？」

「なんかもう簡単に付き合ったりする年齢ちゃうねんて」

そう言うと流星はお米をお代わりするために台所へ向かった。しーんと静まる食卓。

「うん…うん、Aの言うてることはわかる」

気まずいのか、濵田さんは俯いたままぼそぼそと話す。

「せやから付き合ってみ！とかそんなんじゃなくて、他の人に目を向けたりしてちょっとずつ前向けたらええかなあと思ってたんやけど」

お節介やったかな、すまん、と謝る声は小さい。この人は出会った頃から優しいし、私にとても気を遣う。

「濵田さんが謝ることないよ。その気持ちは嬉しい」

「せやで。濵ちゃんかってAが大事やから人選んで紹介してるんやもんな」

いつの間にか戻ってきた流星が、さらっと濵田さんをフォローした。