トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ11)

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別に隠すような事柄でもないので正直に話すと、流星はへえと右口角を上げた。

「どうよ、お姉さん的には」

「いや、どうもこうもないよ」

煮えたぎるオリーブオイルとにんにくの香りが香ばしい。さっきタルト食べたところだけどもうお腹空いてきたな。

「相手がフリーとかかっこいいとか、そんなんだけで付き合ったりする歳じゃないのよ…」

別に小瀧くんから何が言われたわけじゃないし。彼はまだ若いけれど私はそうでもない。楽しい気持ちだけで恋愛できる年齢ではないのだ。

「アッチ、油はねた」

「え、大丈夫？」

「あ、美味い」

火傷した指で味見してる流星。この子は出会った頃から面白い。

「相手フリーで顔が良くてもだめなん？難しいな」

「私もうアラサーだからね」

「ええやん。女は３０越えてからやで」

「２０そこらで女を語るな。あと私はまだ２５だわ」

「肉じゃがちゃうんかあ！」

背後から悲壮な声が聞こえて、２人して振り向いた。

濵田さん、肉じゃがの口で帰ってきたのかな。新潟産のお米の袋抱えて帰ってきたみたい。

「肉じゃがもアクアパッツァも煮物に変わりないし、白飯とも合うからだいじょーぶ」

世界一薄っぺらい大丈夫を唱えた流星は、今度こそスプーンで味見をして満足気に頷いた。

「さあ、ごはんにしよか」