トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ28)

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「あれ、今日ごはんいらんかったんちゃうん」

あれは２年前のことだった。

合コンで出会った男性と飲みに行く約束をしたが、後に彼女持ちとわかった。

「え、なんで今日家おるん？」

あれは１年前のことだった。

マッチングアプリで出会った男性と映画に行く約束をして、ドタキャンされた。

こんな感じで３年前に当時の彼氏ーー太陽くんと別れて以来、男性と縁がない。

「なんで上手くいかないんだろう〜…」

予定が無くなってはメソメソする私を、２人はずっと励ましてくれていた。

「Aはもっとええ人に出会えるってことや。気にしたらあかん」

「誰もおらんかったら、俺と濵ちゃんと３人で老人ホーム行こう」

「２人とも、ずっと一緒にいてくれるの？」

「おう。でも大丈夫や。必ずAを大事にしてくれる人に出会えるから」

「そうや。今日は俺らと飲もう、な？」

そんな夜が何度もあった。２人のためにも、そんな夜はもう終わりにしたい。

「お先に失礼します」

定時を知らせるチャイムが鳴ると同時に、私は職場を後にした。

駅のトイレで化粧直しをする。少しだけ口紅を濃くして、揺れるピアスを付けた。

ーーA:お疲れさま。今から電車に乗ります