トーストと目玉焼きと、コーヒー (ページ1)

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「…ぅわっ」

扉を開けてすぐの角で、私は高身長な２人が道を塞いでいることに気づく。

「どいて、遅れちゃう」

「ほ〜ん？」

濵田さんは意味ありげにスーパーの袋を私の目の前にぶら下げた。隣で流星もにやにや笑っている。

「今からお嬢ちゃんの好きなフレンチトースト作るんやけど？」

「ぐっ…」

「Aの好きないちごも買ってきてんで」

流星もスーパーの袋を掲げた。

だめだ… 食欲には勝てない！

「…今からえりにラインするわ」

「うぇーい。フレンチトーストパーティしようぜぃ」

がっくりと項垂れる私の肩を組む流星。

「そんな怪しいとこ行くより、もっと他の場所でいい人探しなさい」

反対側から私の肩を優しく叩くのは濵田さん。

そう、私は社会人４年目２５歳。立派な独身である。

独身はおろか、彼氏もいない…。

「でも俺一回相席屋行ったことある」

「まじで？店も相手もびっくりしたんちゃう？」

「付き合いやで。その時彼女おったし」

「冷やかしかよ…」

「な？こういうパターンもあるんやから辞めとき」

気がついたら私たちは家の中に入っていた。

大きさの違うスニーカー、流星のよく分からない楽器、濵田さんの釣り道具、私が買ったルームフレグランス。

狭い玄関には私たちの生活が溢れている。