魔法使いと夏休み (ページ5)

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「オカンさあ」

「うん」

「あの駄菓子屋さん覚えてる？」

「駄菓子屋さん？」

オカンはうーんと首をひねる。そういえばオカンと行ったことなかったな。

「ごめん、いいわ」

「そんなに気になるんなら行ってみたら？」

部屋へ帰る俺の背中にオカンが呼びかける。

実は同じことを考えていたが、返事を濁して俺はリビングを後にした。

その夜、アルバムを見ながら駄菓子屋までの道のりを思い出していた。

昨日夢に出てきたのはいつも待ち合わせていた公園。学校では遅刻ばかりの流星が、公園ではいつも先に来て俺を待っていた。

こう見たら流星って男前やってんなあ… 今頃どんな男になってるんやろ。

これは神ちゃんの家だ。神ちゃんは学校以外で外に行くことができなくて、放課後3人で遊ぶ時は神ちゃん家が多かったっけ。

細くて色白で女の子みたいや。控えめやけど頭良くて優しい子やった。今見たら青白い顔してんなあ。

2人ともどないしてんのやろ。口に出しかけて俺は慌てて言葉を飲み込んだ。

今更なんて声かけたらええねん。

俺はアルバムをしまうと、本日2度目の睡魔に襲われることにした。