魔法使いと夏休み (ページ27)

今日:4 hit、昨日:1 hit、合計:79,376 hit

27. ページ27

喧嘩？神ちゃんが珍しい。俺ならまだ分かるけど。

「謝れよ！服汚してすいませんやろ！」

「お前関係ないやん」

見た感じ、相手は他校の６年生や。そして神ちゃんの後ろにいる女の子は、２年生。よく見たら白いシャツが泥水で汚れてる。

「神ちゃん、集合時間やで」

全然空気を読まない流星が声をかけた。神ちゃんははっとしたようにこちらを向く。

「ほんまか、ごめん」

「どないしたん」

「こいつら広場の噴水で遊んでて、この子に水かけよってん。せやから謝れって言うてるとこ」

「いやわざとちゃうから」

「わざとじゃなくても謝らなあかんやろ、可愛い服汚したんやぞ」

正義感の代名詞である神ちゃんは、まるで病人とは思えないほどにメラメラ燃えている。その後ろで、女の子は目を潤ませてふるふると震えていた。

お互いに引き下がらない状況。どないすんのやろ、と思っていたら後ろから担任の声が聞こえた。

「重岡！藤井！あ、神山！」

「村上先生や」

「勝手に飛び出して何してんねん、バス出てまうぞ！」

「村上先生、あいつらがな」

流星が説明しようとすると、村上先生は全てを悟ったような表情で力強くうなずいた。

突然現れた声の大きい村上先生に、他校のやつらは明らかに怯えていた。