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「夢?」
「そう。公園でシゲのこと待ってんねんけどなかなか来やんくて、一緒に粉モンジャーのカード買いに行く約束したのにってぷりぷり怒る夢」
流星の言葉を聞いて、俺はあっと声を漏らした。
「それ俺も見てんけど」
「え、そんなことある?」
「だから俺もこないだ駄菓子屋行ってん」
背中越しに会話を続けていると、自転車は緩やかに動きを止めた。茶色いポストがこちらを向いて笑っているみたいだ。
「藤井くん、お疲れさん」
中間さんは扉から出てきてにこにこと笑っていた。
「重岡くん、こんにちは」
「…こんにちは」
全てを察しているのか中間さんは半分にやつきながら微笑んでいる。悪巧み魔法使いめ。
「美しい友情に乾杯やねえ。ビール冷やしといたんよ」
「やったあ!ほんまは麦茶やのうてビール飲みたかったんすわ」
流星が両手をあげて店の中に入っていく。3杯も飲んどいてよう言うわ。
「重岡くんはお酒あかん?」
「薬飲んでるんで」
流星に続いて店の中に入る。薬を飲んでいなくてもあまり酒に強い方ではなかった。
「ほなラムネにしよか」
中間さんが手渡してくれた水色の瓶は、10年前に飲んでいたものと何ら変わっていなかった。
「乾杯」
カチン、コロン。小さな夏の音が弾けた。
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作者名:Hana | 作成日時:2020年8月15日 18時