恋とWEST (ページ17)

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幼なじみ A ページ17

久しぶりに会ったあっくんはますます恰幅が良くなっていた。

どうやら５年ぶりにこちらへ帰ってくるらしい。

「異動が決まってな、しばらくは実家おるからまたよろしくやでー」

「実家？あっくん、結婚してないん？」

「してへんしてへん、彼女もおらん」

ジョッキを片手に、はははは！と豪快に笑い飛ばすあっくん。だけど私は知っている。長く続いた彼女と別れた事を。

私より３歳年上の彼は、私を妹のように可愛がってくれたし大事にしてくれた。

その関係が心地良かったのは事実だし、それ以上の気持ちを抱いても一歩を踏み出す勇気はなかった。いつも隣にはその彼女がいたから。

しかし、悲しみを隠して笑う彼を見て、初めて私はその関係を壊したいと思っている。

「Aもついに社会人かー。いじめられてへんか？可愛らしいから心配やわ」

「私のこと、可愛らしいと思ってくれてるん？」

「おう、昔からずーっと思ってる」

混じり気ない笑顔に、胸は甘く痛む。最初で最後の、勝負に出たい。

「あっくん、今彼女おらんって言うたやん」

「うん」

「ほんで、私のこと可愛いって言うてくれたやん」

「言うたな」

「私とかどう？彼女」

多分私の顔は真っ赤だ。グラスに触れている指は震えている。

あっくんは金魚のように口をパクパクさせていた。

「えっ、ちょっと…やばい、どうしよう」

耳を赤くして、顔を覆う彼を見て胸は高鳴る。

どうにか、なってほしい。