恋とWEST (ページ14)

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彼氏 D ページ14

「あつー」

サークルの帰り道、飲みに行こうと誘われて2人で飲んだお酒はあまり美味しくなかった。

シゲがシゲじゃないみたいで、居心地悪かったのだ。おまけに奢ってくれたので余計に変な感じがする。

普段のシゲならすぐに「男気ジャンケンじゃ！」とか言って払わせようとするのに…

「なんか、ごめん」

「え？」

しかも急に謝る。今日はどうしたんだ。

「何がごめんなの？」

「いや、俺が誘って来てくれたけど、ほんまは無理させたんかなと思って」

気の弱い発言もシゲらしくない。

好きじゃなきゃ、2人で飲んだりしないのに。

「そんなことないよ。楽しかったよ」

明るく返事をすると、シゲは大きな目をこちらへ向ける。

周りの音が聞こえなくなったような心地がして、身体の内側がムズムズする。

隣を歩いていたシゲの足が止まると同時に、私の左手は大きな温もりに包まれた。

「好きです」

囁くようにシゲが言った。

「付き合って下さい」

後半早口だったけれど、しっかりと伝えてくれた。

私はその手を握り返す。

「はい」