恋とWEST (ページ11)

今日:22 hit、昨日:0 hit、合計:8,838 hit

会社の同期 D ページ11

16時で終わるはずだった会議が長引いている。

もうどっちでもいいじゃん、と言いたいことを延々と…

隣の重岡が肘を突いてくるので、そちらを向く。

彼は笑窪を作った悪戯っ子の笑顔で、「何時まで伸びるか賭けようや」と囁いてきた。

私は、重岡の持つ学生時代を彷彿とさせる雰囲気が好きだ。

結局、賭けは私の負けだった。

「で、何奢ればいいの？」

呼び出された自動販売機の前で財布を出すと、重岡はいつになく真剣な顔をした。

「や、奢ってほしいもんはないねん」

「じゃあ何するの」

「…」

真顔で何も答えない重岡がまるで重岡じゃないみたいで、私はその場から逃げ出したくなった。

「何か言ってよ」

「お前の時間を、くれ」

「へ？」

予想していなかった返事に、頭のてっぺんから声が出てしまった。

「だから、明日お前の時間くれ」

「もらってどうすんの」

「俺と一緒にいてほしいの！」

今度は頭のてっぺんから湯気が出た。気がする。