ピース 〜人口増加の果てに〜 【ホラー】

２１、今日はクリスマス ページ22

気分転換に陽は町を歩いていた。

外には今日の夜中のことがなかったかのようにジングルベルが流れ、ケーキ

やお菓子のにおいが漂っている。

(そういえば今日はクリスマスイブだったっけ・・・・)

が、これまでのクリスマスの風景ではなかった。

人々はみな暗い顔。

どんよりと瞳は濁り、服には血のりがついたものを着た人もいた。

あっちこっちをふらふら歩きながら進む人。

どこに向かっているかさえわからない。

国が正常でないことを陽はその目で知ることになる。

「まて、そこの奴！」

大きな怒鳴り声がした。

すぐにあわてて駆けていく女の子はまだ５歳ぐらいだろうか。

その後を警官が追いかける。

何事だろうか。

「計画に逆らったんだ」

誰かがどこかでそう言った気がした。

許せない。

あの子はまだ、幼いしこのルールを理解していない。

そうだ、両親は・・・・？

目で探したが、人々はあれほどあふれていたのに、今はまばらである。

両親らしき姿は見当たらなかった。

「捕まえたぞ！」

その子はすぐにつかまってしまったらしい。

大人に追いかけられ、逃げられるはずがなかった。

あのこはきっと、


ころされるよ―・・・・


また誰かが陽の耳に囁く。

許せなかった。

陽はそれと同時に国が音を立てて崩れていく姿を見ているようで怖かった。

２２、使命→←２０、守るべき存在

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