始まりは突然に ページ1
ディスターナ国の一室に、少女は居た
彼女の名前は、グリム
夜桜 グリム
ディスターナ国に、スパイとして潜入していた
今は資料をあさっている
(いいものないかな…)
すると、激しい爆発音が鳴った
「なんだ！？」
そのすぐ後、城の中ではアナウンスが響く
≪国王の身の安全を確保しろ！大臣名ｒ…な、なんだお前！≫
ぶつん
無理やり切られたような音が鳴る
「そこのお嬢さん」
グリムの耳に、心地の良いような、気味が悪いような、そんな風に感じられる声が届く
「国王の居場所を教えてくれないか？」
その問いに、グリムは口角を上げて答える
「それは…お答えできませんねぇ」
いつのまにかグリムの視界に、一人の男が立っていた
「ほう。その言葉は、本心か？」
すべてを見透かしているような質問に、グリムは顔をしかめる
「本心かもしれない。嘘かもしれない」
実際、彼女にもわかっていなかった
ただ一つ言えるのは…
「でも、こうするのが一番楽しいから」
男は、その答えに目を見開き、そして、嬉しそうに話す
「面白い。こんな状況でも、貴様はそう考えられるのか」
男は、一気に距離を詰めて言う
「こちらに来ないか？」
男のナイフをグリムはかわす
「いやですねぇ。だって、自由じゃなくなっちゃう」
カキン！
刃物と刃物が当たる音が響く
グリムは、男を足で払う
それを男はよける
男の紅の瞳が、グリムの黒に近い青い瞳をとらえる
グリムは、自分の思考回路に別の何かが入ってくる気分がした
「あんた…能力者」
「この力を拒むのか。なかなか面白い奴だな」
気をぬけば、一気に自分じゃなくなるような気さえもグリムは感じた
「あんまり使いたくないけど…仕方ない」
彼女の手には、人が持つにはいささか大きいような鎌が現れた
「まさか…白い死神」
≪白い死神≫
戦場に立つ者たちは、ほとんど知っている
死神のような大きな鎌を振り回し、それでも周りは血で汚れていない
そんな不可思議な戦場の女性
彼女に出会う確率は低く、いつも瞬間移動をしたように現れる
それは、グリムのことだった
「知っていただいて光栄です」
鎌を振り回しながら、相手の能力を拒みながら、そんな言葉を放つ
「もう一度問う。こちらに来ないか？」
「だから…嫌だって言っているでしょう」
すると、グリムの首に激痛が走る
「まぁ、拒否権はないがな」
グリムの背後に、笑った別の男がいた
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