書記長との仕事 ページ7
「よろしくお願いします。書記長様」
「よろしくな、グリム。あー俺のところは書類の整理やけど…できるかな？」
トントンはグリムの顔を覗き込む
「はい。大丈夫だと思います」
「そっか。わからん事あったら聞いてな」
グリムの曖昧な答えは彼女の性格だろうか
本人は特に気にしていなく、意識すらもしていないようだ
「書…記長様。この量を一人でやっていらしたのでしょうか？」
デスクの上には、大量の書類と栄養ドリンク
本などは綺麗に整頓してあるが、仕事をするものは出しっぱなしにしてある
彼の性格上、本来ならば綺麗にしたいだろうが、そんな暇もなさそうな雰囲気がある
そして、一番大変さを物語っているのが、彼の眼の下にとても濃いクマがあることだ
「あぁ…あの甘党とクズとチワワとポメラニアンが主な原因やな」
表情を見てみると、呆れを通り越して自分がやらなければいけないという責任感が感じ取れる
「…えと、何をすればいいのでしょうか」
グリムはこの様子を見て、早く仕事にとりかかろうとする
「あぁ。えっとな…」
約二時間後
「書記長様。大丈夫ですか」
トントンがうつらうつらしている様子を見て、グリムは声をかける
大量にあった書類は、残り四分の一に減っている
「ん…大丈夫や、で」
トントンは自分のデスクに頭をぶつけそうになる
とっさにグリムが支えた
「書記長様。お休みになられてください。私にお任せを」
「でもなぁ」
言葉では反抗しているものの、体はその誘いに乗ってしまいそうになっている
「書記長さ「その呼び方やめてや。トントンって呼んで」
トントンの瞳はとろんとしていて、今にも寝てしまいそうだ
「書記長様。早くお休みになられてください」
「いやや。書記長様っていうのやめたらええよ」
グリムは「はぁ」とため息をつき、トントンの名前を呼ぶ
「トントン様。よろしいでしょうか」
「…様なくしてや」
子供のように駄々をこねるトントンはもはや思考能力も低下しているように思える
その姿を見てグリムは腹をくくることにした
「トントン。早く休んで」
「んふふ。わかったぁ」
そういってバタンとトントンは倒れ、やがてスースーと寝息を立て始めた
(かわいい…)
様子を少し確認した後、書類を整理し始める
トントンのことがかわいいと思ったのは秘密にしようと心に決めたグリムは、
約一時間後に仕事を終えた
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