監視係との仕事 ページ17
大量のモニターのある部屋の中に、二人の人影があった
一人はモニターの前の椅子に腰を掛けており、もう一人はその隣で作業をじっと見ている
「ロボロ様。目はお疲れではないのですか?」
かなりの時間ずっとモニターを確認しているロボロに、グリムは体の心配をした
「ん?あぁ、いつもこんなんやからで大丈夫やで」
そういってロボロはグリムの方を向いた
その顔は天という紙で隠れて見えないが、声の感じは元気そうだ
「そうですか…しかし、このモニターのすべてをお一人で見ているのですか?」
グリムは二十台ほどはあるだろうモニターを見て、ふとそんなことを聞いた
その画面は数十秒おきに切り替わっており、一般の人ではすべてを確認するのは難しそうだ
「あー。それね、時々大先生とかが手伝ってくれてたんやけど、みんな大変やん?
俺がしっかりやらんとって思うとできるようになってん」
恥ずかしそうに右手で頬をかくロボロは、本当に努力したのだろう
「…すごいですね。私にはとてもできません」
グリムはそう言って、自分にもできないかとじっとモニターを見つめる
他の幹部の様子も見れるので、何があっても大丈夫そうだ
トントンが粛清に来るタイミングがばっちりなのも、これのおかげだろう
「くぁ〜。つかれたなぁ。コンピューターに任せるか」
そういってロボロはキーボードでコンピューターの起動を始める
どうやら侵入者や大きすぎる音に反応するようだ
コネシマの声には反応しないように設定しているらしい
「一回な、コネシマの叫び声でコンピューターが誤作動して警報がビービー鳴ったんやて」
ロボロはため息を吐き、モニターの前から離れた
グリムの目の前に立ち、お礼を言う
「いやぁ、ありがとうな。いつもは一人で寂しかってん」
「いえ、貴重なところを見させていただきましたので…」
グリムにこりと笑って、少し低いロボロの頭をなでる
そこには感謝が九割、馬鹿にした感じが一割含まれていた
「ちょ、グリムまで身長馬鹿にしてくるん!?」
少々怒りっぽい口調と声でロボロは言ったが、それさえもグリムはかわいいと思ってしまった
効果音をあえてつけるのであれば、ポコポコというのが妥当だろう
「ふふ、これはいじりがいがありますねぇ」
グリムが我々だに汚染されていることを、ロボロは悟った
「まぁ、ほどほどにしてや」
ロボロは今日一番の溜息を吐いた
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