-31話- ページ34
カネキくんをさらって数日
毎日聞こえてくるカネキくんの悲痛な叫び声を、俺は毎日耳を塞いで聞かないようにしている。
「ヤモリの野郎、いつか絶対に殺す…殺す…」
骨が軋む程、耳を押さえていた俺の手をそっと誰かが外した。
「怖い。あと耳潰れんぞ、そんなにやると」
「うげェ、アヤトかよ」
「耳もぎ取るぞテメェ……」
アオギリ内、唯一の同い年。
気兼ねなく……いやほぼ、容赦なく暴言を吐ける唯一の仲間でもある。
「“あいつ”のこと気にしてんのか」
「カネキくんのこと？そりゃあ……友達だもん」
「ふーん？」
部屋の隅の床に、座り込んでいた俺の隣に、アヤトは無遠慮に腰を下ろした。
お陰様で埃は舞ったし、邪魔だし、なんだコイツ
「なんでここに座んの？」
「お前が寂しそうだから相手してやるよ」
アヤトの優しさから出る台詞だとは、わかっているけども、どうも痒くて仕方ないぜ。こいつの台詞
────と思っていたら
「ハァァァ？何その台詞、くそ痒いんですけど？」
あ、言ってしまった。
「アﾞァン？」
「わあお！アヤトくん落ち着けええ！？
赫子はしまおうか！屋内だからね！あとここ一応俺の部屋だからね！！壊さないでね！！」
どうどう、とアヤトを何とか落ち着かせた。
すると少し静かになったためか、また俺の耳にカネキくんの悲鳴が飛んできたので、慌てて耳を押さえた。
「いやだ、ッこの声……」
擦れる鎖の音、肉の切れる音、カネキの悲鳴
全部が耳から脳に、ダイレクトに反響する。
それはいつしか涙を誘発しだし、俺は奥歯を噛み締めた。
「ごめんね……カネキくん……」
「A」
伸びてきたアヤトの手に頭を引かれたと思えば、直後に俺はアヤトに頭を抱きすくめられていた。
「…………はぇ？」
「そんなに聞きたくなきゃ俺が押さえてやるし、何なら俺がずっと喋ってやるよ」
だからもう泣くな、と。
アヤトの手がぎこちなく俺の耳に添えられる。
自然とアヤトを見上げる形になった俺は、アヤトに礼を言おうと顔を上げた。
「アヤトありが
………………顔真っ赤やん」
「あッッ暑いんだよ！これは！」
「自分からやっといて恥ずかしいのか！
ンまぁ…可愛いとこあんじゃないの！」
「うるせェ！！……もう二度とやんねえからな」
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レイン - 最後まで読んで「続く」見て、独り言で続けって言っちゃった (2019年1月26日 16時) (
レス) id: a956189dd3 (このIDを非表示/違反報告)
ダメ天使 - すごく面白くて一気に読んじゃいました!!続き楽しみにしてます。 (2018年2月8日 10時) (携帯から) (レス) id: 89fc855d6c (このIDを非表示/違反報告)
黒氷雨(プロフ) - 林檎。さん» そそそそ、それは奇跡…いや運命に近いですね！w。ありがとうございます！これからも更新頑張りますので、よろしくお願いします！ (2017年7月19日 21時) (レス) id: 5e51351d8b (このIDを非表示/違反報告)
黒氷雨(プロフ) - 稀羅さん» ありがとう！そう言っていただけますと、とても励みになります！頑張ります！ (2017年7月19日 21時) (レス) id: 5e51351d8b (このIDを非表示/違反報告)
黒氷雨(プロフ) - 輝夜さん» 最近亀更新ですみませんでした！応援ありがとうございます！これからも更新頑張ります！ (2017年7月19日 21時) (レス) id: 5e51351d8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：黒氷雨 | 作成日時：2014年7月17日 9時
