-26話- ページ29
『ヒナミ…今はゆっくり休みな』
今、皆は別室でリョーコさんと白鳩の話を聞いているところだろう。
一足先に事情を話してもらえたAは、目の前で泣きつきて眠っているヒナミの様子をずっと眺めていた。
『目覚めたときに一人は寂しい…よね』
ヒナミの腫れた目元をそっとなでる。
「おか……さん…っ、」
『ヒナ、大丈夫だよ。ヒナミ』
うなされる彼女の手をそっと握る。
『……いや、ごめん…ヒナ』
____オレ行かないと
ヒナミに毛布をかけ直し、部屋から出た瞬間、トーカにぶつかりそうになるA。
「どこ…いくんだよ?」
『えー…トーカちゃんには内緒』
見るからに不機嫌そうなトーカ。
だが、今回はひるまない。Aはいつもの態度でふるまった。
「……。あっそ。ならこれ持っていきなよ」
投げつけられた “もの”
それは口許だけを覆い隠す革製の “白いガスマスク” だった。
「‘Aくんのお母さんを、イメージして白にしたよ。今回は赫眼だしたスタイルにしたよ’…だってたさ」
____白か。なるほど
『ありがとう!トーカちゃん!』
「ああ。」
受け取ったそれを胸に抱えて、トーカの横をすり抜け階段まで急いだAは、不意に振り返った。
『 “ラビット” もお気をつけて』
「……」
Aが店を出ていった頃、トーカはやっと返事をした。
「そっちもな。 “リッパー” 」
----------------
ここは20区から、かなり離れた地区。8区だ。
ひと暴れしようと思ったオレ、Aはこの地に足を運んでいた。
もちろん一人で。
少しでも20区から目を離させるために、今からやることはただ一つ____
“白鳩殺し”
「今日は夕飯どうしようかなぁ」
「今日も帰ってラーメンでm」
____刹那、二人組の捜査官の片方の首が宙を舞う。
そう、首だけが。
虚空舞った首は生々しい音を立てて、地面に落下した。
『ラーメン?それはそれは美味しそう。
でも、最後の晩餐を迎える前に殺しちゃった。……あはは』
グシャリッ
落ちた生首を踏みつけるガスマスクの少年。それを見て怯える、残されたもう一人の捜査官。
少年の瞳は隻眼だけが、赤く不気味に光る。
「おまえッ…その瞳…!喰種」
『あたりです。
さてさて、正解者の貴方への景品は
____地獄行への切符です』
また一つの首が飛翔したのだった。
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レイン - 最後まで読んで「続く」見て、独り言で続けって言っちゃった (2019年1月26日 16時) (レス) id: a956189dd3 (このIDを非表示/違反報告)
ダメ天使 - すごく面白くて一気に読んじゃいました!!続き楽しみにしてます。 (2018年2月8日 10時) (携帯から) (レス) id: 89fc855d6c (このIDを非表示/違反報告)
黒氷雨(プロフ) - 林檎。さん» そそそそ、それは奇跡…いや運命に近いですね!w。ありがとうございます!これからも更新頑張りますので、よろしくお願いします! (2017年7月19日 21時) (レス) id: 5e51351d8b (このIDを非表示/違反報告)
黒氷雨(プロフ) - 稀羅さん» ありがとう!そう言っていただけますと、とても励みになります!頑張ります! (2017年7月19日 21時) (レス) id: 5e51351d8b (このIDを非表示/違反報告)
黒氷雨(プロフ) - 輝夜さん» 最近亀更新ですみませんでした!応援ありがとうございます!これからも更新頑張ります! (2017年7月19日 21時) (レス) id: 5e51351d8b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黒氷雨 | 作成日時:2014年7月17日 9時