スクールデイズ（3） (ページ32)

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このまま二人でサボっちゃうのもいいななんてページ32

arok side

俺は走った。
自慢の脚力を使いきって全力疾走したけれど、時間とは残酷なものだ。
ヤツは、俺を置いて走りだした。

あー！
完全に遅刻だ！

伊野ちゃんが迎えに来たという母の声を聞いて尚二度寝をしてしまい、朝食抜きで駅まで走ってホームに着いた途端学校に間に合う時間最後の電車が目の前で出発した。

やっちまったー…。
寝癖を手で直し、ようやくやってきた次の電車に乗り込んだ。

扉が閉まり、空いている席が無いかと見回す。
空き席は無く、立っている人がちらほらいた。

「有岡くん？」
声がしたものの、自分の周りに背が高い人が多くて見えない。

あだ名の大ちゃんではなく、友達なのに親しげに有岡くんなんて名字にくん付けで呼ぶ律儀なヤツはあいつしかいない…。

雄「やっぱり有岡くんだー！」

大「髙木！」
人を掻き分けて現れたのはやっぱり髙木だった。

雄「お早う」

大「おはよー。
髙木も遅刻？」

雄「うん、久々に二度寝しちゃってさー。
昨日体力使ったからね」

大「わは、俺も！
一時間目英語の優しい安田先生だから良かった」

雄「俺も今日の一時間目は家庭科の長野先生だからお咎めだけで済みそう。
薮くんのが怖いな(笑)」

大「怖そう(笑)
長野先生って、V6の長野博？」

雄「そう。
料理の腕前が凄いんだけど、最近の授業は俺が苦手な手芸なんだ」

大「髙木が手芸やってんの想像できない！
何作ってるの？」

雄「コンサートの衣装！
我ながらいい出来だから、完成したら部活に持ってくるよ」

大「へー、楽しみにしてる！」

途中の駅で電車が止まる。
車内の人口密度は少し多くなってきていたけど、この駅はわりと田舎にあるから一人しか乗って来なかった。

「…げっ」

大、雄「や、薮ちゃん(くん)！？」

宏「なんで今日に限ってお前らと遭遇するんだよー…」
長い腕で頭をガシガシ掻く。

雄「え、なに、薮くんも遅刻！？」

宏「…そうだよ」

大「二度寝！？」

宏「よく分かったね」

大、雄「よっ、二度寝仲間！」

宏「遅刻常習犯のお前らと一緒にすんなー！
ああ、皆勤賞だったのに…」

雄「今日は薮くんに怒られなくて済むぞ！」

大「良かったな！」

宏「俺は生徒会長に怒られるんだよ…」

大「そ、それは…」

雄「お気の毒に…」

薮ちゃんの無事を祈るしかないようだ。