スクールデイズ（3） (ページ30)

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こんなモノ知らないページ30

ino side

大「え、殴るの！？」
横に座っていた大ちゃんの声で目が覚めた。
どうやら電車の中で寝ていたみたい。
頭の中ががボーッとする。

大「大ちゃんパーンチ！」

雄「この程度じゃあ危ないなー。
助けに行くからいつでも呼んでよ！」

大「な、なんだよそれー…」

ちょっと、人が寝てる横でいちゃつくのやめてほしい。
ほんとこの二人って似てる…。

起きづらくて、狸寝入りを決め込む。

さっき怖かった。
モブ谷くんももちろんだけど、薮が。

再会してから、薮は変わっていた。
幼い頃遊んでいたときと比べて。

身長とかの外見ではない。
確かに背は俺より低いくらいだったけど。
変わったのは中身。
勉強も運動も元々そつなくこなすタイプだった。
けれど泣き虫で、ちょっとプライドが高くて、人とつるむのも好きな方じゃなかったはず。
あの頃の薮なら、友達同士の喧嘩を遠巻きに見るだけだった。

まるで仮面を被ってるように見える。
生徒会でも部活でも仕事をこなして人を仕切って、しっかり者を演じているような。
もしかしたら、俺がそんな薮の隠れた性質を知らないだけだったのかも。

…性悪なところは昔からだったけど。

いつまでも弱虫なままな俺と違って強くなった薮を目の前にして、自分の中で芽生えてはいけない気持ちが出てきそうだった。

もう、俺に必要以上に構わないで。
復讐に対する気持ちを決して揺らがせたくない。

拳を痛いほど握りしめて、そんな自分自信を誤魔化そうとした。