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もっと君を知りたい ページ21

yotm side

教室に帰るとすぐに櫻井先生が入ってきて、HRが始まった。

モブ谷って先輩、背高くてガタイよくて結構イケメンだったな。
伊野ちゃん、断ってくれるかな。
そもそも、伊野ちゃんって男に興味なんかあんのかな…。

頭の中で考えてるうちに、HRが終わった。

大「じゃ光くん、伊野ちゃんにあれ渡しといて」
大ちゃんは二宮先生の所へ向かうべく、教室を出て行った。


光「…伊野ちゃん」

慧「光、もう少ししたらこれ描き終わるから待ってて。
あ、先に部室行っとく?」
伊野ちゃんは机で俺にはよくわからない建築の資料を拡げて、部室の図面を描いていた。
図面まで描けるのか。

光「ううん、いいよ待ってる」
そう答えて大ちゃんの机の椅子を借りた。

「伊野尾、八乙女、教室の戸締まりして職員室に鍵返しといて」

光「おぅ、わかった。
じゃーな」

慧「バイバイ」

「ありがと、また明日!」
日直のやつが教室を出て二人きりになり、図面を描く鉛筆の音だけが聞こえる。

ポケットの中の封筒を、制服の生地の上から意味もなく確認する。
渡す勇気がない。
自分のやつじゃないのに。

伊野ちゃんは顔も綺麗だけど、手も綺麗だ。
指が白くて細い。
男だらけのこの学園内では、伊野ちゃんみたいな華奢な美人はすぐに噂になる。
逆に、薮や亀梨くんみたいな男らしいやつも。


光「ねぇ、伊野ちゃん」

慧「んー?」
目線は図面に落としたまま。

光「その…」
ポケットから封筒を出そうとするも、やっぱり戻す。

光「生徒会にはさ、薮が亀梨くんに休むよう伝えてくれるらしいから」

慧「そっか、オッケー」
薮の名前が出た瞬間、一瞬伊野ちゃんの手が止まったのを俺は見逃さなかった。


光「伊野ちゃんってさ、薮のことどう思ってる?」

ピタリと再び伊野ちゃんの手が止まる。
今度はこちらに目を向けた。

しまった、勝手に口から心の声が漏れた。
伊野ちゃんを前にするといつもこうだ。

光「いや、その、幼なじみとは聞いてるけどさ、あまり伊野ちゃんから薮に話しかけたりしないなぁと思って…」

嫌だ、聞きたくない。
伊野ちゃんの口からから将来を誓った相手だからなんて。
なのに、テンパって声は止まらない。

慧「…何があったかとかは、大ちゃんにも言えてない。

けど俺、薮のこと恨んでるからさ」

光「へ…?」
予想だにしない言葉だった。

伊野ちゃんが薮を恨んでる?
将来を誓ったのに?


薮は、何年もずっと伊野ちゃんだけを想い続けてたのに?



慧「図面終わったし、部室行こうか」
資料を鞄に突っ込む伊野ちゃんの横顔からは、何も読み取れなかった。

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作者名:式部 | 作成日時:2018年11月7日 10時

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