【SERVAMP】嘘が嫌いな嘘つきと白の演者 (ページ9)

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鯆海愛　露木side ページ9

「おお、あの綿貫くんもついに動き出したのですね！」

　始末対象である吸血鬼が城田真昼に仕掛けたと報告してみれば、返って来たのはこの返事とは………如何なものか。

　白い部屋。簡素なベッドと小さなテーブルだけが置かれている。

ベッドに腰掛け、優雅に紅茶を飲んでいるのは…………

「……呑気にティータイムですか、貴女は。それと、嬉しそうに言わないでください、愛さん」

腰辺りまで伸ばした緑の髪。吸血鬼特有の紅い瞳を持つ、見た目年齢10歳程の彼女………鯆海愛。(いるかみあい)

「あれっ、嬉しそうに見えました？そんなつもりは更々無いんですけどねえー」

　ニヤリと笑って、僕の方をちらりと見やる彼女。その仕草は何故か不安を掻き立てた。

「まあ、何はともあれですね…お疲れ様です。露木くん」

しかしすぐ、掻き立てた不安を拭うように明るい声で言う。

彼女はいつもこうだ。人を挑発したかと思えば慰めたり、悲しそうにしていると思えば次の瞬間には明るい声で笑っていたり、全く思考が読めない。

　そんな彼女が、テーブルに乗っている書類を小さな手で捲っていく姿はまるで幼い子供が絵本を読んでいるようなのに。

その内容は酷く悲しいもの。

「………大したことはしていませんよ、愛さん。………救えるといいですね」

「……救ってみせるのですよ。絶対に」

ばさりと勢いよくテーブルに置かれた一枚の紙。そこにはこう題してあった。

“白の演者について”

「貴女は命の恩人ですからね……出来る限り協力しましょう」

「ありがとうなのです、露木くん」

鈴を転がしたようなその声には、しっかりとした決意の色があった。

口に出したことはないが、彼女のことは尊敬している。きっと彼女の願いを叶うようにと、改めて心に決めた。

「待っててくださいね………

…私の愛しい子」