声たち ページ27
「もう無理はしないでよ」
声が聞こえた。男の声だった。
「大丈夫、君はもう十分頑張ったよ」
声が聞こえた。しわがれた老人の声だった。
「ねえ、全部終わりにしちゃいましょ」
声が聞こえた。小さな女の子の声だった。やけに聞き覚えのある声だ。
「アリス。A、私の可愛い娘……」
声が聞こえた。綺麗で暖かくて、優しいあの人の声だ。何故か涙がこぼれて、止まらなくなった。
「すぐに迎えに行きますからね」
声は風となって私の頬を撫でた。去っていくのが嫌で手を伸ばしたけれどつかまえることは出来ない。
声が聞こえた。声が聞こえた。声が聞こえた。
何千年と続く彼らの声。継承を繰り返し、破滅を繰り返した彼らの声。
『疲れたよ、みんな……』
私の中には歴史がある。彼ら全ての記憶という形で、いくつもの歴史を経て、私の体は出来ている。
彼らは解決策を探し続けた。最期の時も、記憶を継承させることで未来に希望を生み出そうと必死に努力した。
私の体は彼らの命で出来ている。
『もうすぐだよ。もうすぐで、きっと……』
風が手紙の形になって、私の前でゆっくりと止まる。
彼らからのメッセージ。
私はそれらを胸に抱いて、進んでいくのだ。
彼らと私の歴史を終わらせるために。
一人の過ちから始まった悲劇の連鎖を断ち切るために。
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孤春 - いいね(*^^*)できれば鉄とか椿さんとかがいるとこがいいな*\(^o^)/* (2016年1月1日 18時) (レス) id: e9b4d09706 (このIDを非表示/違反報告)
グラディウス(プロフ) - 孤春さん» 二次元(((殴 (2015年12月29日 14時) (レス) id: 0ed2aa70e4 (このIDを非表示/違反報告)
孤春 - 式は、どこにする?www (2015年12月29日 12時) (レス) id: c7607bdc8c (このIDを非表示/違反報告)
グラディウス(プロフ) - 孤春さん» 今すぐ結婚式を挙げよう(真顔) (2015年12月29日 10時) (レス) id: 0ed2aa70e4 (このIDを非表示/違反報告)
孤春 - ファイルが2個あるんだげど、もう片方に御国さんいるよ^_−☆ (2015年12月29日 1時) (レス) id: b5aa87727c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:グラディウス | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/guradius1
作成日時:2015年3月14日 21時