Episode166 ページ17
「あの、サンダルフォンさんは何をするか決めたんですか？」
「何を…？」
「はい、天司さん達はみんな、それぞれ新しい生き方を決めたって聞きましたけど…」
「どうだろう…特に考えてはいなかったな」
考え込むサンダルフォン。一方グランはAに同じ質問をしていた。
「僕？僕かぁ…何も考えてないなぁ…まぁ、理想はのんびり暮らしたいかな。どこかで甘いものを作って売るのもいいかな」
「へぇ〜、確かに、Aは料理が得意だもんな！」
「得意かどうかはわからないけど…まぁ、好きではあるよ」
「Aさん、この珈琲を飲んでみてください！」
「ん…？」
サンダルフォンの答が見つからず、一旦諦めて試飲に戻る。ルリアに示された珈琲を飲んだAは、思いがけない味に驚く。
「これ…」
「あの、前にお二人に淹れていただいた珈琲に味が似てると思ったんです！」
「あぁ、そうだな…」
Aの中で、一つの記憶が蘇る。
「…もう一度、中庭を作る」
「Aさん…？」
唐突なAの独り言は、やがてAの中で何かを変える。
『落ち着いたら、もう一度中庭を作ろう。そして、そこで一緒に珈琲を飲もう。それから、全空中の珈琲を探すのもいい。空の民の味は中々だぞ』
かつてサンダルフォンに言った言葉が鮮明になって思い出される。
「やる事、決めたよ。僕はもう一度自分のいたい場所を作るよ。僕達の…中庭を」
「中庭って…ルシフェルさんとAさん達が珈琲を飲んでた…？」
「あぁ、もうルシフェル様はいないけど、安らげる場所は出来ると思うんだ。だいたい、何があるかわからないだろ？もしかしたら、ルシフェル様もひょっこり戻って来るかも…って、思ったんだ」
決意したA。そして同時にサンダルフォンも小さくつぶやく。
「いつか喫茶店を開いてみたいな…」
「お？サンダルフォンも決めたのか？」
「喫茶店って言ってましたよね」
「いいじゃん！やろうよ、サンダルフォン！」
「あ、おい団長！？」
「どういうのがいいの？」
「…落ち着いて、珈琲を飲める安らげる場所、かな」
「はは！Aと同じこといってやがるぜ！」
「いや…僕は喫茶店をやるとは…」
「そうと決まれば、さっそく買い物ですね！」
「「…」」
やると言ったら聞かない一行に、苦笑いしてついていく。様々な店を回り、色々な構想を話すうちに荷物はとんでもない量になるのであった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 14人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月22日 16時
