Episode151 ページ2
「ふん…この程度…ん？」
魔物をある程度倒し終えて気が付く。明らかに自分がつけた傷ではない傷が魔物にあるのだった。
「これは…一体」
奥へ進んでいくと、魔物の数は増えていく。同時に、不気味な鳴き声も時々響き渡る。
「なるほど…森に何やらでかいのが住み着いて人間のいる場所まで逃げてきてのか」
事情は理解するが、だからといって許すことはできない。さらに奥に進むと、目的の魔物はAを警戒してそこにいるのであった。
「…狼か？」
≪グルルルル…≫
嫌に警戒心の強い狼に、違和感を覚える。
「怪我をしたのか…だから森で隠れて…その傷は人間の銃弾だな」
狼は、Aが近づくとうなり、攻撃を仕掛けるが、あっさりとAに負かされ、それでも唸る事しかできないのであった。
「安心しろよ。無差別な殺生は嫌いなんだ」
銃弾の食い込んだ箇所に剣を突き付け、弾をえぐり取る。その際狼は大きく吠えるが、Aのが強大な力を持っていると理解したため、攻撃をすることはない。
「あとは、傷口を止血して…よし」
止血を済ませると、狼はしばらく傷口の匂いを嗅いでいたが、安心したのか、おとなしくなるのだった。
「もう他の魔物を脅かしたら駄目だからな。お前はお前のいる場所に戻るといい」
それだけ言って去ろうとすると、突如発砲音が響く。
「…！？」
「まだ生きていたのか！」
「殺せ！こいつのせいで魔物がこっちにきてんだ！」
「やめろ！！」
狼の前に立ちはだかるA。突然の事でAは銃弾を受けてしまう。
「うっ…」
「ひぃ！こ、こいつは例の英雄の騎空団の…」
「お、おい…あんた、なんで…」
銃弾を受けたAは一時的によろけるが、すぐに体勢を整える。Aの右手には先ほど狼に撃ち込まれていた銃弾と、Aに撃たれたものの両方が握られていた。
「人間どもよ。ひ弱な正の分際で僕に盾突くか」
「ひっ…！？」
「あ、あんた…なにもんだ！？」
「この狼が…何をしたという！？なぜ、いるだけで正を脅かされなければならない！貴様達のような欲に塗れた人間のせいで、この世界は破滅に向かったのだ！」
Aの怒りを真に受けた男たちは、一歩もその場から動けずにいる。そして、ついにAの羽が顕現したとき、男たちはようやく正体に気がつくのであった。
「あ、あれは…前の戦いの時に連合にいた天司って奴等の…！」
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月22日 16時
