【グラブル】二翼の絆 ―番外編＆後日譚― (ページ49)

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～応援歌6～ページ49

「ったく…騎士団も王族も錬金術師も暇人かよ…」
「まぁそういわず。みんなAさんの演奏を聴きに来てくださったんですから！」

演奏会が終わったAは喫茶室で珈琲を飲んで机に突っ伏していた。

「でも、あそこまで集まるのもすげぇよな！」
「はい！白竜騎士団の皆さんも、アイルストの皆さんも、錬金術師のお二人も、それに、おこ民のみなさんもいらっしゃってました！」
「この団はどういう集まりなんだ…？」

Aはうんざりとしたようにつぶやく。サンダルフォンが注文を受けているのでAの出番はなく、疲れた体を癒す。

「そういえば、Aさんにとっての応援歌ってなんですか？」
「僕の応援歌…？」
「はい、私はあの歌がそうですけど、みなさんそれぞれ思い出の歌とかあるんじゃないかと思いまして…」
「歌…か。歌と言っていいかはわからないけど、僕はやっぱりあの蒼い空が一番好きだよ。あの歌を聴くと、ルシフェル様を思い出すし、温かい気持ちになるから。嫌なことがあっても、空の蒼さが癒してくれるし」
「案外Aもロマンチストなんだな！」
「な…悪いかよ」

顔を赤くして怒るAにビィがからかう。ルリアもAをなだめるが、口角が上がっている。

「そこまで笑われるなんて思わなかった…もう金輪際僕は演奏しないからな」
「わ、悪かったって…」
「はぅ…すみません」

二人同時に落ち込んだように謝る様子にAは若干の罪悪感を覚える。

「君はいつまで休んでいるつもりだ？」
「え？」
「俺一人でこの人数を相手するのは無理だぞ」

喫茶室にはいつの間にか人が集まっており、サンダルフォン一人では厳しい状態へとなる。Aが席を立つと、二人は申し訳なさそうにAの目を見るのだった。

「…まぁ、気が向いたら、って言っておくよ」
「そ、それじゃ…！」
「それに、僕とサンダルフォンじゃなきゃあの歌は聴けないからね」
「やったー！」

大喜びする二人に背を向け、Aも客の相手に参加する。二人は蒼き空を鼻歌で歌いながら喫茶室を出ていくのだった。

(…いや、あの歌はもう僕達だけのものじゃないのかな)

若干の寂しさはあるが、うれしく思う気持ちもある。そして、ふと二人の歌っていた歌詞のない歌を思い出し、口角が上がる。

「ＷｏｗＷｏｗＷｏｗ――――♪」

つい口遊んだ歌に、自分でも驚く。しかし歌うのはやめず、そのまま珈琲を準備する。

(応援歌、もう一個追加だな)