【グラブル】二翼の絆 ―番外編＆後日譚― (ページ42)

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～人間とは10～ページ42

「今回の事だが…正式にパンデモニウムの監視を任せる」
「…え？」
「て、天司長！」
「ただし、条件がある。中には緊急時以外入らないことだ。サンダルフォンに会いに行くことも禁じる」
「ま、待ってください…それえではあまりに…」
「わかりました。確かに…僕にはいい罰だ」
「A…」

心配するミカエルをよそにAは承諾する。そのままAはルシフェルに背を向け、どこかへと歩いていくのだった。

「ルシフェル様…なぜAに？」
「…彼女には、もう少し自分がどれほど大切にされているかを知る必要がある」
「…？」
「きっと、私やミカエルがどれほど大切に思っていても、自分では気づかないだろう。そして、Aは無償の愛を当然だと思っている。お互いに助け合う事を当たり前だと思っていないようだ」
「…なるほど。それであのような事を…」
「大丈夫…ミカエル」
「はい」
「いずれAが人間とともに過ごし、何かあれば君がAを助けてあげてほしい」
「それはもちろんですが…あなたは？」

その質問の答えをルシフェルは返さなかった。ただ空を見つめる瞳には憂いがあるのだった。

「…僕がいなくなった後に、そんな話を」

ミカエルの元に久しぶりにやってきたAは、懐かしそうに話を聞く。

「結果的に、ずいぶんと人間との生活にも馴染み、そして成長したようだ」
「でも、なんでパンデモニウムを選んだんだろう」
「そうだな…おそらく、一人で考える時間を与えるつもりだったのだろう」
「なるほど。確かにルシフェル様以外は会うことなかったなぁ」
「しかし、妾は最後まで反対であった」
「なんで？ルシフェル様のご意思なのに…」
「ルシフェル様の御心も当然大切だ。だがな、貴様も同じように大切なのだ」
「…」
「なんだ、この話をしても、まだ理解していなかったのか貴様は…」

呆れたように言うミカエルにAも困ったように笑う。

「いや…でも、ミカエル達が色々僕に教えてくれたのが何でかなって思ってたけど、団長たちと旅を続けてるとさ、なんだか何かをやるのに理由はいらないんだなって思った。それが誰であっても…ただ、誰かの為にって考えるとさ、やっぱり力が湧くもんなんだ」

Aは自分の右手を見つめ、話を続ける。

「負けそうだ、とかダメだ、って思うと頭に浮かぶのが、いつもサンダルフォンやルシフェル様、それにミカエル達だった。それが愛だっていうなら、いいもんだな」
「そうだな」