【グラブル】二翼の絆 ―番外編＆後日譚― (ページ38)

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～人間とは6～ページ38

「それで、何かわかったかな」

ルシフェルのもとに戻ったAは、中庭で珈琲を淹れていた。

「そうですね。人間の愚かさと脆弱さは思い知りました」
「随分と機嫌が悪そうだ」
「いえ…」
「私が今回見て来てほしかったものはね、あのような弱き存在でも、人は人とのつながりで強くなることだよ。それは君もわかったのでは？」
「はい、確かに…はじめは何も知らない僕にイロハを教え、その見返りに金を得る…人とのつながりで成功する…そして、人が集まれば力を生む…この流れは理解しました」
「そうか」

ルシフェルは珈琲を飲むと、真剣な表情でAに向き合う。

「君は…空の世界で一人で生きることができる。だが、こうして私の願いを聞いて頼りながら過ごした。それが人なのだよ」
「はぁ…」
「いずれわかる」

ルシフェルは意味ありげにつぶやく。

「…天司でも、一人が苦しいときはあるんだよ」
「ひとりが…ですか」
「私も、ここに来るときは安寧を得られる。君の笑顔や…彼の言葉は」

ルシフェルの表情が暗く沈む。

「…なぜ、サンダルフォンはああまでして…貴方を憎んだのですか」
「私は…A、今からいうことはここだけの話にしてくれないか」
「ここだけの…？」
「私の…天司長としての言葉ではないことを覚えておいてくれ」
「わかりました」

自分の分の珈琲を注いだAは、ルシフェルの正面の椅子に座る。それを確認したルシフェルは、話を始める。

「彼が叛乱を起こした動機は、君も知っての通り、役割のことだろう。君も、よくわかるのでは？」
「そ、そうですね…」
「私は…彼の気持ちがわからず、今まで過ごしてしまった。…もしかしたら孤独だったのかもしれない。君のように四大天司という友もいないからね。そして…君は彼の役割に気づいていたのでは？」
「…ッ」
「ああ、それを責めているわけではないよ」

ルシフェルは勘違いをしたAに訂正をする。

「知っていて黙っていた君に裏切られたと思ったのかもしれないね。そして、役に立ちたいという気持ちを私は踏みにじった」
「いえ…あなたは…」
「誰に何を言われても、彼がそう思っているかもしれない、ということだよ」
「はい…」
「…私は、それでももう一度三人で珈琲を飲みたいと思う。役割や立場など忘れて…君達の話を聞いていたい」
「…彼をあの檻から出すことは…」

そう言いかけたAはそこで言葉を止める。それ以上は聞いても無駄だと分かっているからだ。