【グラブル】二翼の絆 ―番外編＆後日譚― (ページ36)

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～人間とは5～ページ36

「命は助ける。だがこの先、お前達に悪事を働く間もないと思え。家族、身内、大切な人…その全てを無に帰されたくなくば、まともに生きることだ」

こうしてAはつないでいた馬にまたがり、そのまま去っていく。Aはそのままアルヴェータのいる屋敷まで走る。しかし途中、何者かにつけられている事に気が付く。そして突如、街中で発砲音が響くのだった。

「ぐっ！？」
「は…はは！死ねば関係ねぇんだよ…！」
「フェル…マータァ…ッ！」

痛みこそあれど、天司であるAには銃弾など効かない。そのまま態勢を立て直し、剣を構える。

「なっ…化け物かよ！？」
「はっ…こんな弾、僕には傷にもならない」
「…クソ！」

男は周りを見て、突然走り出す。するとそばにいた少女を捕まえ、銃口を突きつける。

「い、いやぁ！」
「へへ…これで大人しくなるだろう…」
「…」

その光景を冷ややかに見ていたA。全く動かないAに男は首をかしげる。

「愚かな人間風情が、この僕に歯向かうのか。そうまでして人間は己の欲望を抑えきれぬか。この世界、誰が愛し、誰が守っているとも知らず…もういい。僕は飽きた」
「何をごちゃごちゃ言ってやがる！」
「周りを見ろ」
「…ッ！？」

知らぬ間にAに背後を取られ、剣を突き付けられる男。少女は隙を見て逃げ出し、周りの人間は皆逃げている。

「いいか、いいことを教えてやるよ。残り短い余生を懺悔に尽くせるためにな」
「ひ…」
「この空を守る方は誰にでも慈悲深い。そして、この空を支える者も。だがな、そうそう皆が慈悲深くはない。例えば…僕はな」
「う…ゆ、許してくれ！」
「僕だけなら構わないけど、あの少女には一生心の傷を背負って生きる運命をお前は辿らせようとした。いや、もしかしたら今も恐怖で怯えてるかもしれない。いいか、世界は誰もが必死にあるために回るんだ。せいぜい、天司の力で楽に死なせてやるよ」

Aは男に剣を突き付け、軽く小突く。すると男は気絶して倒れるのだった。

「殺すな、って言われてるんだ。だいたい、天司の力はこんなもんじゃないんだからな」

そのまま街を進み、先ほどの少女の気配を探る。家の中で母親と隠れている。

「…先ほどはすまなかったね」
「で…出て行ってください！」
「あぁ、そうだね…これを」

Aは白い羽根を差し出す。

「これは、ある程度の悪いものなら寄り付かせないお守りだ。誰かに言わず、大事に持っていてくれ」