【グラブル】二翼の絆 ―番外編＆後日譚― (ページ35)

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～人間とは4～ページ35

翌日からAは空域中を回って契約履行のために奔走していた。そして日増しにAの評判は上がり、ついには部下が付き、大きく発展していく。

「会長！」
「なんだ」
「この契約者が料金を払わなくてですね…」
「そうか。では僕が直接取りに行くよ」
「し、しかし…」
「大丈夫」

そういうと、Aは馬にまたがり野をかける。相手のもとにたどり着くのにそう時間はかからず、馬をつないで入口へと立つ。

「フェルマータ殿、Aです」
「ん…？」

眠そうな、気だるげな声で返事をした男。しかし、わずかに嫌な気配がし、Aは緊張感を高める。

「代金を徴収しにまいりました」
「あぁ…あんたか…へぇ…ご本人様が来るとは」
「何も僕だけ働かなくていい理由にはならない」
「そうだな。あぁ、だが金は払えねぇ」
「そうか。では、いつならよいと？」
「いや、お前には払わねぇっつってんだよぉ！」

突如荒々しい声を出した男は、扉を蹴破って現れる。そしていつのまにかAは武装した人間たちによって取り込まれるのであった。

「へぇ。手洗い歓迎だ。どういう了見でこうなってるんだ？」
「はっ、お前が邪魔だっていうヤツに頼まれたんだよ！下っ端から潰す予定だったが…まぁ、いい。死ねよ！」

一斉に男たちがAに迫る。しかしAは避けようともせず悠然と立つ。

「なんだぁ？あのすかした顔は…」
「死でも悟ったんだろ！」

まさにAに剣が振り下ろされようとした瞬間、誰もが死んだと確信する。しかし、Aを貫いたはずの剣はAの頭の上で止められてしまう。

「な、なんでっ！」
「く、くそ…！」

Aは剣が振り下ろされる瞬間に、自らの帯刀していた剣で全てを防いでいたのだ。

「へぇ…人間ってのは随分と欲の塊なんだな」
「…なっ！？」
「僕がただの人間としか思わなかったお前達の落ち度だぞ。さぁ、全員僕に話を聞かせてもらおうか」

ものすごい勢いで剣をさばき、あっという間に男たちを叩きのめす。その圧倒的な力を前に、フェルマータは腰から崩れ落ちるほかなかった。

「さぁ、話してもらおうか。どこの誰が僕を消したいって？」
「ひ、ひぃっ！」
「答えろ。さもなくば貴様らを殲滅するぞ」

何の感情もなく突き付けられた剣についに男は両手を挙げて話し始めるのだった。

「い、依頼したのは…アルヴェータだ…」
「アルヴェータ…ね」