【グラブル】二翼の絆 ―番外編＆後日譚― (ページ25)

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～珈琲とケーキと天司と11～ページ25

試食会が終わり、机を拭くA。しかしその頭の中には塩気のあるメニューが離れずにいるのであった。サンダルフォンは洗濯当番の為おらず、一人で考え込む。

「ボリュームがあって、なおかつ軽い…いや、矛盾しすぎだろ……ん？矛盾…？」

ふと、矛盾という言葉が引っかかる。

『心とは矛盾するものだよ』

ルシフェルに言われた言葉をふと思い出すA。そして同時に、さらに昔の記憶を思い出す。

「これだ…！」

Aが取り出したのは商人の好意でもらった粉で、その粉を篩にかけるとそのままいったん冷やしておく。その間にAは芋の皮をむき、ベーコンの細切りをカリカリになるまで炒め、芋を細切りにしたものを油でカリカリにする。そして冷やした生地にバターと砂糖、卵を加えて混ぜ合わせ一度寝かせると、そこにアバレイユを入れ焼き上げる。焼き目がついたところでベーコンを揚げた芋を乗せ、最後にペッパーを振ったところに少量のハチミツをかける。

「できた…ポテトタルト、幸せの味！」

そこへちょうど洗濯物の終わったサンダルフォンが戻ってくる。

「なっ…君はまた作ったのか！？」
「あぁ、サンダルフォンのいうもの、作ったぞ！」

自身の満ちた笑顔に何も言えず、仕方なく席に着く。Aが持ってきた皿には焼きたてのタルトが切り分けて乗せられていた。そして一緒に出てきたのは珈琲。

「さぁ、珈琲と一緒にご賞味あれ」
「はぁ…」

タルトを一口サイズ分に切り分け、口に運ぶ。予想していた塩味ではなく、甘味があることに驚く。そして、珈琲を飲むことで口の中がすっきりしつつ、ほどよく腹が満たされる。

「なるほど、芋でボリュームをだし、タルト生地が甘いからそこまで食事っぽさはない。だが…この初めの甘さはなんだ…」
「ハニーソース。はちみつさ」
「はちみつ…？」

いぶかしげな顔をするサンダルフォンだったが、もう一口味わうと納得した様にうなずく。

「確かに。ここまではちみつが合うとは思わなかったよ。なんていうんだ？」
「ポテトタルト、幸せの味って名前をつけたよ」
「幸せの味…？確かにおいしいが、幸せとは…」
「はちみつをしょっぱいものに合わせるのを見つけたのはルシフェル様なんだ」
「なに、ルシフェル様がか？」
「あぁ。昔、塩味の芋にはちみつの入ったソースをかけて食べてたんだ。僕はさっきのサンダルフォンみたいに信じられなくて。そしたらルシフェル様が食べさせてくれたんだ」