【グラブル】二翼の絆 ―番外編＆後日譚― (ページ23)

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～珈琲とケーキと天司と9～ページ23

「たぶん、あのソルベの甘さはグラニュー糖だ。水とグラニュー糖を合わせて火にかけて…」

溶かし終わった液体をボウルに移して冷ます。その間にシェロの持ってきた精霊の力の結晶を手に取ると、向きを調整して台に固定する。鑿と槌を取り出し、先端に小さく穴をあけ、ナイフを滑り込ませる。

「うん、貝と同じようで安心した。これをいくつかやって…」

初見でさばいていくAにビィとルリアは唖然とするのであった。

「あれをあんな一瞬で…」
「はい…やっぱりAさんはすごいです…」

中から取り出した魔力の実と呼ばれるものを水洗いし、先ほど冷ましておいた液体に混ぜていく。

「それを凍らせたらソルベだな！」
「けど、ここに少し工夫をして…」

そこにAが入れたのは生クリームで、ソルベとは違った雰囲気へと変化していく。

「これを凍らせるのに時間がかかるから、凍るのを待つ間にムースを作るよ」

次に手に取ったのはメイグイファの花で、あらかじめ沸かしておいたお湯でメイグイファから花茶を作る。

「あれ…Aさん、少し長くないですか？」
「まぁね。少し味を濃い目に出したいんだ」

ようやく取り出したメイグイファの花を捨てず、いったん容器に入れておく。花茶を一度冷ましつつ、卵を卵黄と卵白にわける。

「オイラ、この分けるやつができないんだよなぁ」
「私も時々失敗しちゃいます…」
「まぁコツは思い切って最初に割ることだな。真ん中を割らないと偏ってやりづらい」

こうして分けられた卵白の方にお湯で煮溶かしたグラニュー糖の液を冷まし、その間に卵白を泡立てつつ少量のグラニュー糖を入れる。そして、ゆっくりと端から先ほど覚ました液体を流しいれ、泡立てていく。

「あとはこれに緩めの生クリームと冷ます前にゼラチンを入れた花茶を加えて冷やし固めれば完成だ」
「わぁ～！」
「けど、これじゃつまらないから、４分の３は花茶で、残りはそのままにしておく。で、先に紅茶のほうを流し込んで、そのあとゆっくりと白いほうを流せば…」
「おい…せっかく分けたのに混ざっちまうじゃねぇか！」
「大丈夫」

Aの手元を見ると、見事に２色に分かれたムースがある。

「す、すごい…」
「これは濃度の違いを利用したんだ」
「へ、へぇ…」

こうして出来上がったものを冷蔵庫で冷やす。

「…う～ん、やっぱ卵黄がもったいないなぁ」