【グラブル】二翼の絆 ―番外編＆後日譚― (ページ21)

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～珈琲とケーキと天司と７～ページ21

「す、すごいです…お料理のこと、詳しいんですね！」
「まぁね。それなりには理解してるつもりだよ」
「そのAの料理はパーシヴァルがお母さんに教わったんだって。あと、キッシュはヴェインのお婆ちゃんが作ってくれたのを再現したんだって」
「へぇ…」

興味深そうにAはパテを眺める。

「この国の騎士団は中々おもしろそうだ」
「キッシュはいらないのか？」
「食べる！」

サンダルフォンに差し出されたキッシュを一口分切り出し、口に運ぶ。

「へぇ…きちんと生地がなじんでて、それでいてサクッといた触感もある。アパレイユもしつこくなく、塩味もちょうどいい」
「はわ…アパレイユの事も知ってたんですね…！」
「ドラッヘントラウト自体にも先に火を通してから酒で蒸し焼きにしてるから臭みもなくておいしい」

料理の味に感心し、分析するAに一行は苦笑いをする。そして、驚異の知識と味覚に驚くのだった。

「パテもそれぞれ肉の部位ごとにきちんと下処理をしてある…とくにレバーは臭みが出やすいけど、きちんと血抜きをしてあるから食べやすい。昔、ここに来たときにたまたま食べた猪の味を思い出す」
「んなっ！？お前、来たことあんのかよ！」
「って言っても、何百年も前にね。珈琲が空の世界でそれだけ広まったか見に来たんだよ。うん、おいしかった」

パテを食べ終えたAだったが、その後は一切何にも口をつけることはなかった。そのままコースメニューは続き、ついにデザートが運ばれてくる。

「わぁ～、やっぱりいつ見ても綺麗なデザートですね！」
「これは…精霊の力か。また珍しいものが出てくる店だな」

感心したように眺めていたAだったが、デザートを眺める顔に興味があるのは容易にわかる。

「食べないの？せっかくなのに」
「う～ん…でも、さっき食べちゃったし…」
「なら、皆さんで一口ずつあげましょうよ！」
「おう、それならAも新しい料理を食べれて、喫茶店で出せるしな！」
「う…それじゃ結局…あ～もう諦めた。その好意に甘える！」
「はは！姉ちゃんが珍しく子供っぽいな！」
「はい！とっても笑顔です！」
「う…」

こうして運ばれてきた全てのデザートを食べ終えると、食後のカフェが運ばれてくる。

「メイグイファの花茶とコピ・レオルの珈琲か…なかなか風流な…って、なんで僕のも？」

目の前に置かれたカップにAは店員を見上げると、店員はにっりと笑ったのだった。