〜珈琲とケーキと天司と４〜 ページ18
「わ〜い、お幸せに〜！」
「は…！？」
子供達が嬉しそうに走り去っていく。その中の一人が言った言葉に思わずAは変な声を漏らす。
「気づかなかったのか…この祭りは恋愛成就の女神の祭典らしい。こうして観光客を見つけては配るみたいだぞ」
「へ〜…えっ、恋愛！？」
「そういうことだ」
サンダルフォンは呆れたようにAを見ると、また歩き始める。
「…天司に恋愛ってのも無粋だよなぁ」
「まぁね。別に俺達は永久に何もなければ生きられる存在だ。人間はそうもいかないだろうが…」
「なるほど。てっきり兄弟かなんかに見えてると思ったんだけどなぁ」
「まぁ、首飾りをしている大人は大勢いるさ。別にいいんじゃないか？」
「そうだな」
しばらく歩き、一つの菓子屋に入る。中は祭りのフェアで混雑していたが、タイミングよく二人席が空いていた為腰を下ろす。
「はぁ…人が多いな。あ、店員さん、このゼリーと珈琲のセットを」
「俺は珈琲だけで」
注文を済ませると、雰囲気を眺める。落ち着いた雰囲気の店内は、今でこそ騒がしいが普段は過ごしやすい落ち着いた店なのだと推測する。木を使った店で、その色合いがまた落ち着いた雰囲気を出していた。
「お待たせしました。オレンジゼリーと珈琲お二つです。ごゆっくりどうぞ」
店員によって運ばれてきたものをみる。店内の内装に合わせて食器も落ち着いた雰囲気を使用しており、デザインも統一されている。
「…うん、オレンジの甘さだけでゼリーにしてある。これならできそうだ」
「珈琲はまぁまぁだよ。少し香りが弱い」
「そうだな…もう少し力があってもよさそうだけど、混雑してるからなぁ」
それぞれある程度分析すると、あとは味を楽しむ。珈琲の最後の一口を飲み終えたところで、次の目的地の相談をする。
「次はどこへ行くんだ？」
「粉を買いに行くんだろう？」
「あぁ、そうだった」
また当たり前のように隣に並んで大通りを歩く。その事にAは今更ながら感謝するのだった。
(叛乱や災厄を起こしたときは二度と会えないかと思ったけど…なんだかんだ、団長に助けてもらったなぁ)
特異点たるグランがいなければ二人はもう一度会うこともなく、ましてやパンデモニウムからサンダルフォンが逃げていなければAと今歩く未来はなかった。
(なんだかなぁ…べリアルといい、サンダルフォントいい…平和が似合わないなぁ)
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ミレン(プロフ) - こちらにコメントください！ぜひぜひお気軽に！！割と大真面目にお願いします（（ (2019年3月29日 16時) (
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年3月20日 23時
