【グラブル】二翼の絆 ―番外編＆後日譚― (ページ15)

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～珈琲とケーキと天司と～ページ15

「サンダルフォン、甘めのミルクたっぷりの珈琲ちょうだい！」
「わかった」
「あ、この紅茶のクリームケーキも一緒にお願いね」

船の一室を使い、喫茶店を開いたAとサンダルフォン。幸いにも評判は上々で毎日誰かしらで賑わうのだった。

「A、そろそろタルトは焼けそうか？」
「あぁ、飾り付けて完了だ。何かあったのか？」
「注文が一気に入ったのでね」
「あぁなるほど、急ぐよ」

珈琲と接客を担当するサンダルフォン、軽食や菓子を担当するA。二人は分担をしながら喫茶店を運営していた。

「サンダルフォン、こっちにも珈琲をくれ！」
「あぁ、わかった」

店をやるのは朝ごはん時と、夜の夕食から少したったあとで、現在はラカムとイオ、ロゼッタが利用していた。団員の憩いの場として受け入れられた喫茶店は、当初の思惑通りとはいかず、なかなか落ち着いて二人が珈琲を飲める時間も限られて来るのだった。

「っはぁ～…終わった」

何とか夜の営業も終わり、ようやく落ち着いた時間を過ごす。しかし、すぐにまた明日の生地の仕込み等を始めねばならず、すぐに腰を上げるのだった。

「…あれ」

粉を手に取ろうとしてケースが軽いことに気が付く。

「切らしてたか…」
「どうした」
「いや、明日の分の粉を切らしたんだ。今から買ってくるよ」

身支度をして出ていこうとするA。その姿を見てサンダルフォンは声をかける。

「たまには休みにするのもいいだろう。明日いけばいいさ」
「いや…けど勝手に休むのも」
「明日は祭りのある街に出向くらしい。団長達が休もうと誘ってきた」
「なるほど。それじゃお言葉に甘えようかな」

もう一度椅子に腰かけると、サンダルフォンが珈琲の入ったカップを差し出す。

「お疲れさま。仕事終わりの珈琲はいかが？」
「ありがとう」

珈琲を受け取って口につける。変わらない美味しさにホッと息をつく。ようやく落ち着いて珈琲を飲む事の出来る時間に、Aは幸せを感じる。ただ、未だにぬぐえないのは、今この場にルシフェルのいない寂しさのみだ。

「あ、そうだ。ちょっと待ってろよ」
「…？」

おもむろに席を立ったAは小さな菓子の乗った皿を二つ持ってくる。

「これ、次の季節のケーキなんだ。味見してよ」
「いただくよ」

サンダルフォンの前に珈琲を置き、自分も席に着く。ベリーをふんだんに使い、酸味のあるソースに、甘く濃厚なクリームを使ったムースは、甘酸っぱく口に広がった。