検索窓
今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:23,982 hit

Episode115 ページ16

焦りのつのり一行をあざ笑うかのようにベリアルは笑う。

「ちょうどいい具合の銃だ。特に中で暴発するスリルがいい」

突如、発砲音が響く。その発砲音を響かせたのはミカエルだった。

「お、おい、ミカエル!いつの間にオレの銃を…」
「御託は聞き飽きた。解決方法は自分たちで探せばいい。誰か。サリエルの大鎌をここに」
「ミカちゃん。そんなに焦って何を警戒している?かつてのようにまた逃亡すると?」
「狡知と語る舌は持たぬ」

怒りに燃えるミカエルの目がベリアルの方へ向く。

「睨むなよ。昔はカワイイ後輩だったのに」

突如、ベリアルは全体を見渡す。

「だがキミ達はわかってない。“終末”は獣の救済でもあるんだぜ?」
「またつまらん詭弁を…」
「特にキミには有用だよ。原則不滅の獣は永遠を生きて使役者に奉仕を繰り返す。天司は役割という概念で、最近は契約という機構で、その力とは裏腹に空虚なモノだ」
「そんなの昔の話よ!今は星晶獣だって普通に生きてるわ!」
「普通?キミという定点観測ではそうかもね」
「て、定点観測…?」
「災厄の邪神と忌み嫌われるサンディも、今は理解あるキミ達と普通に過ごせる。そして、最も原初の災厄を起こそうとしたAも、ね。だが百年後は?千年後は誰が獣の心を労わる?理解者達は消えていき、世界を守っても誰にも何も報われず、倦んだ徒労感を抱いて永遠を生きる…そのループを終わらせてやるのさ」
「決めつけないで頂戴。星晶獣の一生は空虚だなんて極論だわ」

ロゼッタの言葉に、ベリアルは更に口角が上がる。意識を取り戻したAは、ミカエルに支えられてベリアルを睨み付ける。その様子を見て、ベリアルはAを一瞥すると、大げさな身振りで話を続ける。

「人間はルシフェルに何か報いたか。彼は空の敵対者と戦い続けてたが、感謝以前に存在も知らなかったのでは?」
「…」
「口を慎め。堕天司がルシフェル様を語るな。貴様こそ終わらせてやる…!魂の行き先で天司達に詫びるといい――」
「…ッ!?」

Aが突如顔を上げる。その直後、パンデモニウムが揺れだす。

「なんだ…!パンデモニウムがまた揺れているぞ!?」
「混沌の浸食が始まったのかもね。空が赤に染まる光景は見物だぞ。さて…」

ベリアルは、ゆっくりと起き上がると崖の方へと歩き出す。ベリアルの傷はいまだふさがらず、Aの一太刀によって、最早生き残ることは不可能な、その身体で、だ。

Episode116→←Episode114



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.0/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
18人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ミレン(プロフ) - かなとさん» すみません、確認不足でした。ご指摘ありがとうございます! (2019年3月13日 21時) (レス) id: 62a512f1a1 (このIDを非表示/違反報告)
かなと - 編集画面をよく読みオリジナルフラグをお外し下さい違反です (2019年3月13日 20時) (レス) id: 9e9dee48da (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:御煉 | 作成日時:2019年3月13日 19時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。