Episode47 ページ10
「はな…れろ…！」
「私が…私がお二人を止めるんです！」
「たの…むから…」
「そうやっていつもAさんは私達を守ることだけ考えて…私は役に立てないんですか！？」
「ルリア！」
サンダルフォンが追いつき、ルリアをひきはがそうとする。そのとき、アドバンの剣先がAを捉える。
「A！！」
「だめーーーー！」
サンダルフォンが手を伸ばすのと、ルリアの叫びは同時に起こる。間に合わないことは明白であったはずの剣は、Aの頭上に振り下ろされることはなかった。
「…え？」
「…っ…」
アドバンの腕を止める人影。七色の髪色の綺麗な羽をもつ天司だった。
「ミザ…」
「この人が、ミザさん…」
ミザリアはアドバンの手を押さえつけると、柔らかくほほ笑む。
『…もう、やめよう？私は誰も恨んでないよ。一緒にいてくれたアドバンもAも、死なせないようにしてくれたルシフェル様も…本当は役に立ちたかったけど…ミカエルやガブリエルと仲良くなりたかったけど…それでも、私は自分の運命を恨んだことはないよ』
「ミ…ザ…？」
アバドンの目が変わる。その隙にAを救出し、傷口の治療をする。その間もミザリアはアドバンに語り掛ける。
『私は苦しかった…誰も傷つけたくなかった…コアの損傷した私は、きっと放っておいたらあなたまで手にかけていた。私が殺してって願ったの…エーテルは四大天司がいるのに、嫉妬しちゃったの…許して…アドバン」
「ミザ…ミザ…俺は…」
アドバンの変異が徐々に溶けていく。同時にAの傷もふさがる。
『一緒に行こう。もう、私達天司はこの世界には必要ない。ただの命として生きるAを…世界を救ってくれた新しい天司長を…見守ろう？』
ミザリアに手をひかれたアドバンは、徐々に光の粒子となっていく。その瞬間、あたりにいた幽世の魔物は消えていく。
「ミザ…」
『A…』
「…救えなくて、ごめん。ずっと、謝りたかった…」
『謝るのはこっちよ。あんあこと、頼んでごめんなさい』
しばらく視線が交差する。
「…」
『…また、会えるかな』
「…必ず、会える。だって、ルシフェル様もまた会おうって言ってたから」
『フフ…そうね…蒼の少女、私を顕現させてくれてありがとう。私の想いを伝えてくれてありがとう…』
「わ、私…？」
首をひねるルリア。ふと、Aの持つ布が輝く。
「ルリアの力にミザの想いが重なった…のか」
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年4月7日 14時
