Episode45 ページ8
互いに悲痛な叫びが響き渡る。成り行きを見守っていた一行の元に、リランが現れる。
「A様、四大天司とサリエル様がそろいました」
「…ああ」
短く返事をしたAは剣をアバドンに向ける。
「もうお前は天司じゃない。幽世の存在は僕が滅する。かつて友であったとしても…こんな現状、誰も望まない」
「お前はそうやって、簡単に優先順位を決められるんだ…だからミザを見殺しにした。違うか!?」
「違う!…けど、力に飲まれて誰かを死なせそうになる苦しみは知ってる。ミザだって傷つける事を望んでいない!」
「それはお前の考えだろう!?お前なら、救えたんじゃないのか!?カラの天司であるお前なら…」
アドバンの声が次第に小さくなる。ルリアは震える指でサンダルフォンの袖をつかむ。
「…どうした?ルリア」
「貴方に似てると思ったんです…どうしようもない、行き場のない怒りをぶつける先を探している…そんな気がするんです」
「俺が…か。確かに、そうかもしれないな」
「あと…Aさんの記憶が流れ込んできて…たぶんですけど、ミザさん、自分で決断したんです」
「自分で…」
「はい…」
Aの表情に徐々に動揺が走っていく。乱される心に飲まれるように、アドバンとAは変異していく。
「いかん…Aが虚無に飲まれた…!」
「クソ、天司長の力を渡すのは失敗だったか…」
「い、いえ!あの…Aさんの意識、あります!自分で力を解放したみたいです」
「…しかし、あの力はAでも扱いきれぬ」
「それが…」
ルリアは、じっとAを見つめる。変異したAは真っすぐとアドバンを見据えると、剣を構える。
「…Aさん、とても力が安定してるんです。何か、とても強い力が働いてて…強大な元素と、あたたかな力が…」
「強大な元素…まさか」
ルリアが気配を探ると、二つの気配がAに感じる。
「その…あたたかい気配はサンダルフォンさんとルシフェルさんのものですけど、もう一つは、七色の髪色の女性で…」
「ミザリア…」
「その二つの力がAさんに力を貸してるんです」
「ミカちゃん。ミザちゃんが死んだあの日、Aは…」
「…ミザを手にかけたのはAだ」
「そうだったの…だから、死ぬ方法を知ってたのね」
「不滅の天司を覆す…Aはその頃から虚無の力を…」
サンダルフォンのつぶやきに、ミカエルは唇をかみしめるほかなかった。
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年4月7日 14時