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Episode44 ページ7

「…あの、Aさんの言ってた事件って何ですか?」
「俺も気になっていた」
「うむ…」

ミカエルは苦々しい顔をする。やがてゆっくりとあらましを話すのだった。

「奴がまだルシフェル様に仕えていた頃、研究室にいた天司が死んだ」
「えぇ!?」
「で、でもよぅ…天司ってのは原則不滅だって…」
「普通はな…その天司は作られた時に事故があって機能障害を持っていた。同じ研究室育ちのAとアバドンは仲が良かったと聞いておる…だがな、死んだ天司―――ミザリアは妾達のせいで死んだのだ」
「なに…?」

ミカエルの言葉に驚く一行。

「妾達上位天司はエーテルを扱う。そのエーテルの偶然性を生み出すために生み出されたのがミザリアだった。だがな、妾達はすでにルシファーによって偶然性を持っていた。強風の日もあれば雨の日もある…すでに出来上がっていた偶然性を司るのは不必要だった…そしてある日、ミザリアは役割を求めて力を使った。当然、妾達と二重に力が作用してミザリアには負担が大きくかかった」
「ま、待ってくれ!それがどうして四大天司のせいになるんだよ!?」
「…妾達はミザリアの命よりも空の世界の安定を優先した。それによってミザリアはオーバーフローになり、それを抑えるべくAとアバドンが戦い、その末に死んだ」
「なっ…それじゃ、あの二人が…」

未だ続くにらみ合いは、互いに無言で何か言葉を交わしているようだった。Aの過去にあった痛ましい事件に、一同閉口する。

「アバドン…ミザはこんなことを望んでない。僕らが忘れて楽しんでいるように見えたなら誤解だ!僕はミザの事を忘れたことはない…」
「だが、結果的に俺の目的に気づいたのは今だろう!?不用品の叛乱に悲しみ、ルシフェルの死に悲しみ…お前はこの間にミザを思い出したか!」
「思っていたさ!それに、あの時ルシフェル様がミザを止めるように指示を出したのはこれ以上ミザを苦しめないためで…」
「そんな事どうだっていい!」

アバドンの声が響き渡る。Aの顔は険しくなり、剣を握る手に力が入る。

「…ミザとお前は、俺のあこがれだった。ずっと明るく気高く生きる二人に…なのになぜ!役に立ちたいと願って殺されなければならなかった!お前はどうしてミザを殺すことを躊躇わなかった!」
「躊躇わなかったわけないだろ!僕がどんな思いでミザを助けようとしたか…どんな思いであの日、お前に助けを求めたか!」

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作者名:御煉 | 作成日時:2019年4月7日 14時

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