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Episode87 ページ49

「ふふ、いい経験をさせていただきました」
「そりゃよかった」
「ノイシュ、勝手にいかれては困りますよ」
「す、すみませんでした…」
「まあ、僕のわがままだ」
「そうですね。ノイシュが勝手に行くとは考えられません」
「なんだよ、天司に口答えか?」
「ねえ天司様!」
「あ、おい…大きい声で言うな…」
「な、なんと…貴方はあのミカエル様のお仲間で?」

父親の言葉にAの顔が変わる。

「…ミカエル?」
「は、はい…時々この地に現れるんです。最近は戦いのたびに現れるので…」
「なるほど。そのミカエルの後輩ってとこだ」
「…なんと!」

突然男に何かを差し出され、思わずのっぴくA。

「あ、飴ですが…」
「なんだ…いきなり出すなよ」
「皆様の分もありますんで…どうぞ、ノイシュ様、セルエル様、ヘルエス様…それに、お嬢さんも」
「ふん、いただこう」
「ふふ、久しぶりにこういうのもいいものです」

全員が口に飴を含むと笑顔になる。

「よし、この後詰所にいって鍛えるか」
「い、今からですか!?休まれた方が…」
「お断りだ。この程度、何も疲労には感じない」
「…」
「ノイシュ、貴方が案内役ですね?」
「…わかりました」
「スカーサハ様、わたくしとともにエルバハの元に参りましょう。何やら珍しい菓子を作ったそうですよ」
「ああ、行こう」
「セルエルは、ノイシュといきなさい」
「あ、姉上!?…はぁ、仕方ありませんね」

そのままそれぞれが笑いあって別れる。その移動中、Aは少年の顔を思い出す。

(天司ってのも、ちゃんと信仰してくれてるんだ。ルシフェル様は決して…知られぬ努力をしたわけじゃないんだ。よかった…貴方の守った空の子は、とても強いですね。やはり、いいものでした…)

空を見上げると日は傾いている。そして赤く燃えるが不気味な色ではない。むしろ次の日の晴れを予感させる美しい赤が広がる。

(空が蒼でなければならない理由なんてない…それも一理ありそうだ。僕はこの夕焼けが好きだ。蒼も赤も…そして心地いい眠りを届ける宵闇も)
「どうしたんですか?Aさん」
「ああ、いや…いい空だと思って」
「…そうですか?いつもと変わらない、アイルストの空ですよ」
「…だからいいんだよ。いつもと変わらない…あの空が。この空を守るために多くの仲間が戦ってきて…そして今、変わらないからいいって思えるんだ」
「そうですね。いい空です」
「セルエス様も…」
「…これが僕の守りたい空だ」

Fin

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作者名:御煉 | 作成日時:2019年4月7日 14時

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