Episode86 ページ48
「…！？」
魔法陣にスカーサハを載せると、突然強い光があたりを覆う。目が慣れた時そこに現れたのは真龍ディアドラだった。
「ディ、ディアドラ様！？」
『人の子よ…そなたの働き、大儀だった』
「…で、でも…」
『そなたはまだ弱い。しかし、いずれ吾を守り、そして国を守れるようになるだろう。母を想える優しい子だ。今は父のもとに戻り、国を助けよ』
ディアドラの声はそれだけ告げると光がなくなり、元のスカーサハへと戻る。
「…な、なんだったんだろう…今の」
「今のが真龍ディアドラだ」
「え、ええ！？本物！？」
「一時的に呼び出した。今は議会所の屋上にいるだろう」
Aが手を上げると同時にあたりに花が咲き、祠の周りは明るくなる。
「お、お花…」
「これを君の母君に手向けるよ。さすがに墓参りするとは思わなかった」
「…」
「この国で起こった悲劇…それは勘違いと間違いで起こったものだ。悪意で国を亡ぼされたわけじゃない…君の母君も、きっとわかってくれる」
「…う、うん…ありがとう、不思議な羽のお姉さん」
「…羽？」
慌てて振り返ったAは急いで羽を消すが、少年の目ははっきりと羽を捉えるのだった。
「ねえ、お姉さんはどういう人種？エルーンでもないよね？」
「い、いや…」
「魔法？」
「えーっと…」
すっかりなつかれたAはスカーサハに助けを求めるが、スカーサハは笑って逃げる。ノイシュに助けを求めようにも気づかれることはなかった。
「…有翼人種だ」
「えーー！」
「ぶっ…」
「おいスカーサハ！」
「すまぬ。しかしそなた…有翼人種とは…」
「ねえ、飛べるの！？」
「あーー！よく聞け！僕はこの空を守る―――」
「天司、だろう」
「そう、天司――って、」
顔をあげるとそこにいたのはセルエルだった。その後ろにはヘルエスもいる。
「…セルエル様、ヘルエス様！」
「ノイシュ達がいないので探しに来てみましたが…」
「す、すみません…」
「…その子供は？」
「はい、先の騒ぎで行方不明になっていた飴屋のご子息です」
「そうか」
「ねーねー、天司ってあの天司？お空を守るっていう？」
「そーだよ。天司ってのは怖いぞ。めちゃくちゃ強いぞ。怒られたくなかったら目をつむれ」
「目…？」
「全員、僕の羽さわっとけよ」
「「！？」」
突然広がった羽に捕まると、目の前は何も変わらない街並みだった。
「…ええ！？ここ、俺の家の前！？」
「…ラーダ…か！？」
「と、とうちゃん！！」
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年4月7日 14時
