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Episode83 ページ46

「ご主人」
「…は、はい」
「貴殿の息子、探してやる。だから飴の作り方を教えてほしい」
「え…」
「なっ…Aさん!?」

ノイシュは慌てた様子でAに声をかけるがスカーサハがそれを制する。

「…おそらく、天司の問題なのだ。吾らがそれを口出すことは不可能だ」
「しかし…騎士団の方は…」
「まあ、その辺はAもバカではない。どうにかするだろう」
「…」

しばらく男と話をしたAはノイシュに向き合うと、頭を下げる。

「ごめん。勝手だけど、今日中に見つけるから…明日には議会所に戻る。ヘルエスにも言っておいてほしい」
「しかし…可能なのですか?」
「Aよ。中途半端な救済は誰も救われんぞ」
「…わかってる。アイルストの守護龍よりも、僕はずっと長い間この空をを守る方の傍にいたんだ」
「ならよい。吾も手伝おう」
「ス、スカーサハ!?」
「もとは騎士団の役目だ。それに手が回らぬは吾らの失態。よいな、ノイシュ」
「…わかった。ですが、私も同行します。お二方に何かあってはヘルエス様達に合わせる顔がありませんから」
「人間に守られる獣、ねぇ」

Aは苦笑いをしたが、ふと表情を引き締める。

「おそらく飴屋の息子は森だろう。魔物も多くいる。もう手遅れかもしれないが…」
「行くしかあるまい。森の魔物は吾も制御できぬ故…警戒をせねばな」
「では行こう」

三人、森へと歩く。道中の魔物はほとんどがAの姿を見て逃げる。

「お主…あまりかの者たちを恐れさせてくれるな」
「いや…そんなつもりはないんだけどなぁ」
「あの…気になっていたんだが、スカーサハは天司の存在を知っていたのか?」
「いや、知ったのは災厄と呼ばれる時だ」
「天司というのはあらゆる星晶獣の上位なのだろう?」

ノイシュの言わんとすることを理解したAは口角を上げる。

「力はな。僕達天司は空の守護者であり、全てを愛する。ってのがルシフェル様の考えで、何も畏れさせて征服させる気はない。そもそも人間と天司が関わるのはイレギュラーなぐらいだぞ」
「そ、そうなのか?」
「イレギュラー…それも、世界を大きく変えるほどの。ルシフェル様はこの世界に滅多な事では顕現しなかった。例えサンダルフォンが災厄を企てたとしても、特異点が現れなければ顕現はしなかっただろう」
「そんなに…」

ノイシュはAの姿をまじまじと見ると、首をかしげる。

「見た目は普通の人間なんだがなぁ…」

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作者名:御煉 | 作成日時:2019年4月7日 14時

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