Episode67 ページ30
ガブリエルの言葉にAもうなずく。
「まあ、今は大丈夫だろう。おいおい、様子を見に行ってくるよ」
「貴様だけで、か？」
「俺も行こう。天司長の力があれば可能だろう」
「…だそうだ」
「…ミカちゃん、任せましょう。こればかりは私達じゃ無理だもの」
「…わかった」
その後、それぞれの場所へと帰っていった天司達。甲板で遠くを眺めるAの目は険しくなる。
「…確かに、パンデモニウムの件は終わったわけじゃない。サンダルフォン、聴きたいことがある」
「その前に、場所を移そう」
「…ああ」
Aの自室に入ると、話を続ける。
「アスタロト、とメイガスって聞いたことあるか？」
「…ああ、ある。パンデモニウムでルシファーとルシフェル様をずっと恨んでいたと聞いた」
「…じゃあ、パンデモニウムが星晶獣である、というのは？」
「…！？初耳だ」
「そうか。あれはルシファーが造った、都合の悪い天司を封じておく輪廻の星晶獣だ。だからこそ、普通の天司は入る事が出来ない。で、アスタロトってのはかつてルシファーが不要になったとかで閉じ込めた天司だそうだ。強大な力を持つらしいけど…で、幽世の住人と結託してたって聞いてたけど…それを封じたのが団長だ」
「団長が…？」
意外なとことで登場した名前にサンダルフォンは驚く。
「団長達はパンデモニウムの最下層に行ったことがあるんだ。そして、あそこに何があるのかも知ってる。アスタロトが消失したのも団長が全てやったことなんだ」
「…」
「で、もともとそのアスタロトを監視するのが僕の役目だったんだ。まあ、きっと建前だけどね」
「…それで、何を見に行くんだ？」
「アスタロトのいない今、誰が何を企んでるかわからない幽世の住人を見に行こうかなって。何もなければそれでいい」
「わかった。で、いつ行くんだ？」
「夜、かな。動き出すなら夜のが多いだろうし」
こうしてその日のうちに見に行くことにした二人は、夜に備えてそれぞれ休息をとるのだった。そして団員が寝静まった夜、二人は甲板にいた。
「…よし、行こう」
サンダルフォンとAは同時に光となって消える。パンデモニウムに着いた二人は、最上階から下へと下っていく。
「中には魔物や星晶獣が多くいる。まあ、僕を見て襲ってくる奴はいないだろうけど、サンダルフォンは天司長の力を持ってるから恨みで襲ってくる奴がいるかもしれない…あ、そうだ。髪のオレンジ色の堕天司を見つけたら教えてくれ」
「…ん？」
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年4月7日 14時
