Episode61 ページ24
「似てきたって…なんか昨日も言われたような…」
「もしかして君が以前完璧を求めてたのは天司長の影響かな？」
「そんな覚えはないけどなぁ」
「確かに〜！今は自然体だけど、前は口調とかも、こう…厳しい気がしたし」
「それは、ある程度立場を理解してたからで…」
「なら僕達に敬語を使わせるべきじゃないかな？」
「なら、サンダルフォンに敬語を使えるか？」
「く…」
黙ったハールートにAは得意げに鼻をならす。
「ふふ…Aに口で勝てるのは今も昔もいないのね」
「天司長でさえ勝てなかったのー？」
「それは、どっちの？」
「ルシフェル様ー」
「ああ、あの御方でも敵わないんじゃないかな」
「なんだかんだ言っても、天司長様はAに甘かったものね」
「そうかな…絶対ガブリエルのが強いよ口は」
「あら、どういう意味かしら？」
「げ…」
盛大に地雷を踏んだA。ガブリエルの黒い笑みに思わず逃げようとする。
「あら、どこへいくのかしら？」
「い、いや…」
「…何かあったのかい？」
ハールートの問いにAは全力で首を振る。
「そ、そうか？」
「あ、あぁ…」
「喧しい。ここは店の中だ。迷惑をかけるようなことはするな」
「…すみません」
「あら、やっぱりミカちゃんが一番かしら？」
冗談っぽくガブリエルが笑う。しかし密かにAは全力で首を振るのだった。
「ところで、何で集まろうと？」
「ああ、その事を言うのを忘れてたわ」
ガブリエルは真剣な表情をすると、Aの手を握る。
「貴方に聞きたいことがあるの」
「聞きたい事…？」
真剣な声音にAの顔も引き締まる。
「貴方、特異点という自覚はある？」
「…今、なんて」
ガブリエルからの衝撃的な言葉にAの表情が凍り付く。
「…あるみたいね。ごめんなさい、ずっと知ってたの。貴方が気づいてたかは知らないけど、天司長様…ルシフェル様に言われて私達はずっと貴方を見ていた。世界を変える恐れのある存在は簡単に野放しにはできないの」
「監視…」
「そうね。そう思ってもらって構わないわ。だけど、それなら私達は貴方を慕ったり、教えたりはしないわ」
「勘違いをするな、A。貴様が本当に世界を滅ぼす存在であったとしたら、妾達は貴様を殺すだけの力はあった。それをしなかったのは、世界をいい方向へと導くと信じでおったからだ」
「は、初耳です…」
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年4月7日 14時
