Episode39 ページ2
それぞれの勢力が動き始める。下位天司を通して戦況をみるA。その隣にはリランが立つ。
「A様」
「ん…」
「サンダルフォン様は、なぜ貴方の力を持っているのですか」
「逆だ。僕がサンダルフォン…いや、正確には天司長の力を借りてる」
「はあ…」
「サンダルフォンは二代目天司長だ。お前の従う相手は僕だが、その僕が従うのは天司長だ」
「では、団長…は？」
「団長はまた組織が違う。僕ら羽をもつ原初の星晶獣は天司というが、その軍勢を束ねるのが天司長だ。そして、この空には人間がいて、各々組織を作っている。この船の一団を束ねるのがさっきの団長だ」
「では、あの団長はいかような存在で…」
「仲間、だ。そして、特異点…世界の中心となりうる存在だ」
「…」
生まれたばかりのリランに一通り説明をする。リランは全てを覚え、理解していく。
「ま、難しいことを考えるもんじゃない。ようは、誰とでも協力すればいい。ほかの使徒は知らないけど、僕に従い続けることもない。お前はお前の意思で動いてほしい。ただ、今は僕がお前達の上官であることは確かだし、いう事を聞かざる負えないけどな」
「わかりました」
「だから―――」
突然下位天司が何かを告げにやってくる。リランが下位天司に近寄り、情報を読み取る。
「A様、ウリエル様からです」
「なんて…？」
「ルーマシーで幽世の存在が出現、またルークからは異様な気配を察知したそうです」
「リランはウリエルの元へ行って助けてこい。で、下位天司はこっちにこい」
下位天司を呼び寄せ、情報を得る。ウリエルの戦況は安定しており、急ぐ必要がないことを知る。
「現場待機…だな。ウリエルにリランを向かわせたことを報告しろ」
下位天司はクルクルと回転するとAの後についてくる。すると突然、下位天司から怒鳴り声が響く。
『A！！お前の言ってた黒い男がウジャウジャいるぞ！』
「んなっ…」
『だが、リランが今のとこ抑えてる。各地の獣も応援に来てるがブローディアと俺じゃちと分が悪い」
「そうか…持ちこたえられそうか」
「まあ何とかはなる」
「…どうするか」
考え込んでいると、別の声が響く。
『ウリエル…僕がやってみるよ』
『サリエル…お前は下がってろ！体の負担があるだろうが！』
『A、僕も君と同じように虚無に飲まれた。だけど、生きろと言ってくれる人がいるんだ。だから…いかせてほしい』
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年4月7日 14時
