〜最強の剣使い15〜 ページ44
後日、純粋な剣で勝負をしたいというシエテに付き合って剣を握ったA。
「あれ？あの剣じゃないの？」
「ああ、あれはサンダルフォンに譲った」
「そうなの？その剣は…」
「僕が顕現させたまがい物。切り刻む分にはそん色ないけど、それ以外には役に立たないよ」
「へぇ…それじゃ、お願いねAちゃん」
お互いに剣を構える。純粋な技術だけで剣を振るうのは久しぶりで、Aは心のどこかで楽しんでいることに気が付く。
「楽しそうだね？」
「顔にでてたか？」
「いいや…剣から伝わるよっ！」
「そうか…い！」
お互いに目にもとまらぬスピードで剣を操る。頭目としての意地、天司としての意地、双方譲れないものを背負った二人は、ただただ剣を振るい続ける。しかし、その中でも剣を純粋に振るえることを楽しんでおり、立場すら忘れているほどだった。
「はっ！」
「ふん…っ！」
剣がお互い交わる。視線と視線が交わり、呼吸が重なる。
「…ッ…」
「あれ…？Aちゃん、調子が…」
「隙を見せるなよ…ッ！」
シエテの言葉に被せてAは剣を振りぬく。それによってバランスを崩したシエテに剣を向ける。
「気を抜くなよ」
「…あはは…さすがに強いねぇ」
「当然だ…これでも僕は負けられないんだ…僕が負けたら、僕は自分を肯定できない！」
Aの剣に速さが増す。シエテはAの言葉を考えようとして剣を振り切ることに精一杯になる。
「く…」
目の前にいる剣を操る存在が、自分とは違う次元の強さを持ってることを体感する。自分とは違う、隙の無い剣技はシエテの心を折るには十分だった。
(はは…本当にあのイケメン君が勝ったのが信じられないなぁ…)
目の前で見たはずの先の戦いが既に信じられなくなる。もはや神話を見ていたのではないかという疑念さえうまれる。
「…はぁっ！」
「っ…！」
目の前に迫る剣を防げず、思わず目をつむる。しかし痛みは来ず、目を開けるとすぐ目の前に刃が向けられるのだった。
「もしも天司の試練があるなら間違いなく合格。僕を超えようと思うなら、あと２０００年は生きないとな」
「…それは難しいなぁ」
「…満足したか？」
Aはシエテを伺うように尋ねる。シエテは自分が満足したのかふと考える。得難い経験をして、圧倒的な力を見せつけられたはずだったが、なぜかとても楽しい思いをした気分だった。
「最強の剣使いを見せてもらった気がしたよ。ありがとう」
「…当然だ」
fin
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ミレン(プロフ) - 名無しさん» 完全趣味作品にコメントありがとうございます！できうる限りリクも受け付けてるのでお気軽に！ (2019年5月18日 20時) (
レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続きが楽しみです更新頑張ってください (2019年5月18日 12時) (レス) id: af5f93c29d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年4月5日 23時
