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〜最強の剣使い12〜 ページ41

Aに一撃が入ったのは突然だった。

「っあ!」

腕をかすめた刃はAに確実なダメージを与える。Aは腕を気にしつつも手を止めることはしない。

「Aちゃん?いったん休まない?手当てしなよ」
「まだ…だ!」
「…ん?」

Aの背にある羽が徐々に色づき始める。それはケイオスマターとアバターの力を供えた深淵のような黒だった。

「あれはちょっとまずいね…」

止めに入ろうかと剣を握るが、すぐに手を離す。Aは一切乱さず、自らの意思で剣を握っていた。

「…掌握した…のか?あのあふれだすような力を…」

かつて暴走したことがあると聞いた力だったが、今は完全にAの支えとなって動く。そして同時に白と黒がぶつかりあうたびに起こる衝撃の質が変化する。

「あまりの強大な力のぶつかりあい…これはいよいよ本当に神の次元だ」

お互い譲らず、その剣は止まることを知らない。しかし確実に、僅かながらお互いの剣が鈍っていく。

(体力勝負か…この調子だと勝者は―――)

勝負がついたのは突然だった。突如Aの動きが止まり、予想していなかったサンダルフォンの剣がAの胸を貫く。

「ぐっ…!?」
「A!!」

慌ててシエテも駆け寄るが、Aは力を失ったように羽が消え、落下していく。

「イケメン君!」
「ああ…!」

Aを追って急降下したサンダルフォンは、ギリギリでAの手をつかむ。シエテハ小型艇を動かすと、二人を拾う。

「お疲れ様二人とも。団長ちゃんのとこまで送っていくから休んでいなよ」
「ああ、そうさせてもらう」

サンダルフォンは力尽きたAを抱えて仮眠室に向かう。ベッドに寝かせた頃には傷がふさがり、顔色もよくなる。

「…まったく、確かに殺してしまいそうになるのは怖いな」
「…やだな…サンダルフォンに負けるのか…」
「俺には天司長の力がある。だから気にすることは―――」
「もう、本当に僕の存在意義がなくなるんだなぁ…」

ポツリとつぶやいたAの言葉にサンダルフォンの動きは止まる。

「今の勝負、賭けてたことがある。僕が負けたら…パンデモニウムの管理権を渡す。つまり、僕の全ての役割が引き渡されたことになる。そしてもう一つ…」

Aは腰にある剣を抜くと、サンダルフォンに差し出す。

「きっと、これを持つのはもう僕じゃないんだ」
「この剣はルシフェル様の…」

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ミレン(プロフ) - 名無しさん» 完全趣味作品にコメントありがとうございます!できうる限りリクも受け付けてるのでお気軽に! (2019年5月18日 20時) (レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続きが楽しみです更新頑張ってください (2019年5月18日 12時) (レス) id: af5f93c29d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:御煉 | 作成日時:2019年4月5日 23時

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