〜アイルスト騎士団強化計画18〜 ページ29
「やっと船に帰れるな」
「寂しくなるな…」
「いつになく素直だなスカーサハ」
「ふん、吾も対等に言い合える相手がおらぬと寂しいのでな」
「…一応僕のが上位なんですけど?」
「そう感じさせん振る舞いがよくないのだ」
スカーサハに鼻で笑われ、Aはそっぽむく。最終日という事で送別会を開くこととなり、議会所の広間にAとスカーサハはいた。多くの騎士や関係者が集まる中、セルエルとヘルエスの顔が見えないことに違和感を感じる。
「なあ、ヘルエスとセルエルはどこへ?」
「少し遅れるそうだ。王族ではなくなったとはいえ、やることも山積なのでな」
「へぇ…」
一人の騎士が駆け寄ってくりと、(名前9を席へと案内する。その隣にはスカーサハが座る。残りの席2つは空欄でヘルエスとセルエルのものだと察する。
「では、これよりAさんの送別会を行います。それではみなさん、準備はよろしいですか?」
「…ん?」
「「おー!!」」
突如雄たけびをあげた騎士達。そして全員の視線は一様にAを捉える。
「へぇ…なんだかおもしろい顔だ」
「察しがいいなAよ。騎士達が自分たちで考えた送別会だ。とくと味わうがいい」
剣を抜いた騎士達はAに向かって一斉に迫る。その行動の中にはAの教えた陣形が含まれ、戦術があることに気が付く。
「ああ、受けて立つよ」
Aは剣を両手で握ると、凛と立つ。騎士はAに攻撃を仕掛け、Aはその攻撃を余裕の表情で受ける。
「いい…この楽しさは久しぶりだ」
Aは久しぶりにてこずっている自分にうれしく思う。そして、騎士を一人、また一人と気絶させていく中で夢中になっていることに気が付けなかった。
「まだまだ…甘い!」
「それはどうでしょう」
「…!?」
突如視界が覆われ、動けずにいる。そして視界を覆ったものが布であることに気が付き、自分をはめた張本人の声に気が付く。
「落とし穴とはまた古典な…」
「ですが、有効だたみたいですね」
「なんだ…このせまいのは…ん?」
周りを見渡して気が付く。そこは議会所のエントランスで、外には大勢の民がAの登場に歓声を上げていた。
「…」
「いかがでしたか?これが、サプライズです」
「姉上、むしろこれは罠にはめたのでは?」
「…セルエル?」
「ま、確かにな…でも」
周りをみて、顔をほころばせる。民の顔に曇りはない。
「たまには化かされてみるのも悪くない」
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ミレン(プロフ) - 名無しさん» 完全趣味作品にコメントありがとうございます!できうる限りリクも受け付けてるのでお気軽に! (2019年5月18日 20時) (レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続きが楽しみです更新頑張ってください (2019年5月18日 12時) (レス) id: af5f93c29d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年4月5日 23時