〜アイルスト騎士団強化計画14〜 ページ26
「…で、だ。長い時間を過ごしてたけどある時唐突にルシフェル様の気配が弱まったんだ。一応僕は気配の感知は得意だから…で、サンダルフォンは出たくないっていうからおいて出ていったんだ。そしたら、もう既にルシフェル様は体をケイオスマターの力で貫かれていた」
「ノイシュから聞きました。黒衣の男の攻撃だそうですね」
「そうだね」
Aの顔に闇が落ちる。
「…もうよい。思い出すのも辛いのだろう」
「そう、だね…僕の人生で一番見たくないもののひとつだ」
Aはぐっと拳を握りしめる。そしてその拳を開く。
「ルシフェル様は、僕を庇って…命をとられたんだ」
「なっ…」
「…確かに致命傷だった。けどあのルシフェル様が致命傷を負ったぐらいで反撃を全く出来ないわけない。僕が油断したせいなんだ」
「…Aさんが、油断ですか。考えづらいですが…」
「ルシフェル様の傷に目が行って敵の存在が頭になかったんだ。僕は元々こんなに戦闘狂なわけじゃないし…そのまま、僕の腕の中でルシフェル様は死んでしまった」
ルシフェルの愛刀を手放さないのは、もともとはこの剣で復讐するためであり、今も手元にあるのは形見であることと、ルシフェルに空を見せ続けるためだった。
「そのあと、カナンでベリアルと戦ったりアバターを倒したり色々あったけど、正直僕の頭の中には復讐しかなかった…もう約束とかどうでもよくて、全て終わったら自分も死ぬつもりだった」
「それでは、サンダルフォンは…」
「サンダルフォン殿も、同じだった、ということですか」
「…そう。サンダルフォンもあの終末の時まではずっと死ぬことを考えていたらしい。けど…次元の狭間に巻き込まれそうになった時、魂の終着点と呼ばれる場所でルシフェル様に再開して気が変わったらしい」
「…うん?Aは変わらなかったのか?」
「…正直」
Aは苦笑いする。
「僕がこの世界に生きる理由が見つけられなかった。サンダルフォンは空を見守るっていうけど、僕はもう役割が終わったから、休みたい気もしたんだ。けど、皆が必要としてくれるから、その期待に応えるのもいいかなって」
Aはここにきて初めて、心から笑う。その笑顔にスカーサハもつられて笑う。
「で、何かわかったか?ヘルエス」
「わかる、というよりわからなくなりました…」
「何が知りたかったんだか…」
「Aさんがいかにして強くなったか、ですが…」
「なるほど」
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ミレン(プロフ) - 名無しさん» 完全趣味作品にコメントありがとうございます!できうる限りリクも受け付けてるのでお気軽に! (2019年5月18日 20時) (レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続きが楽しみです更新頑張ってください (2019年5月18日 12時) (レス) id: af5f93c29d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:御煉 | 作成日時:2019年4月5日 23時