〜アイルスト騎士団強化計画8〜 ページ20
「うっせぇなピーピーと！どこの誰の分際で王族と僕の前で騒いでんだ！」
「「！？」」
Aの言葉に水を打ったように静まり返る騎士団。その様子を見ていたスカーサハとセルエルは盛大にため息を吐くのだった。
「剣に仲間が貫かれたのは、己のせいだと思え！何を言い訳したところで変わんねぇよ！慰めあってる仲間も、本来なら死んでるんだぞ！？考えるべきは対策だ。剣のクセ、動き、リズム…全て見切れば強者といえど、そう難しい攻撃ではない。何より僕は一度に多くの事をやって疲れるんだよ！もっと貪欲に強さを求めろ！」
Aの八つ当たりに等しい怒りは、騎士の心に重くのしかかる。考えてみれば、仲間の事を案じるか卑下するかのどちからで、誰もAの攻撃の事を考える者はいなかった。それに気づいた騎士は、それぞれが目配せをすると、バツが悪そうにしながらも攻撃パターンと各々感じた情報を伝え合う。
「ぜぇ…はぁ…」
「無茶をするな、Aよ」
「へぇ…老人を労わるのか真龍」
「今その呼び名をするな。吾はスカーサハだ」
「へいへい…ったく、こんなにも騎士団ってのが難しいとは」
「そなたがスパルタすぎるのだ」
「早く強くなるにこしたことはない。何せ災厄も週末も悲劇も何もかも予兆なんてないんだから」
「それは、体験談か？」
「そうだ」
Aの目にはすでに騎士団は映らない。空の蒼さのみその瞳に映るのだった。
「…僕達天司は空の脅威をいくら葬っても、この世界に生きる人間が弱くては話にならない。そして天司は役割を還元することによって、既に干渉を控えている。まあ、サンダルフォンや四大天司とかの多くの天司はまた空に脅威が訪れたら手を貸すだろうけど」
「…吾にはそなたが一番に向かっていきそうだと思えるがな」
「そりゃ買い被りだ。案外僕は薄情だぞ」
冗談っぽく笑ったAにスカーサハも笑う。
「あの火の天司はそなたの事を、天司の中で最も人間を知り、優しさを知る者だと言っていた。吾も同意しよう。先の飴屋の息子の件、さらには伝え聞いた災厄や終末…どれも他者を優先していたように思う」
「…災厄に終末か。僕はただ、手をとれなかった友人の…助けられなかった白い六枚羽の罪滅ぼしをしただけだよ」
悲し気に響いた声にスカーサハも顔を伏せる。
「…復讐は愚かだと吾は思う。だが、確かに吾は…ノイシュがメイヴに割かれた時、復讐してやりたいと思った」
「…それが普通なんだよ」
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ミレン(プロフ) - 名無しさん» 完全趣味作品にコメントありがとうございます！できうる限りリクも受け付けてるのでお気軽に！ (2019年5月18日 20時) (
レス) id: 093f8fec1a (このIDを非表示/違反報告)
名無し - 続きが楽しみです更新頑張ってください (2019年5月18日 12時) (レス) id: af5f93c29d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：御煉 | 作成日時：2019年4月5日 23時
